これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
変わった。
あなたはすごく、ぜんぶが変わっちゃったよ勝吾くん。
「みんな行く某コーヒーショップとかも。缶コーヒーと何が違うんだよって」
「ふふっ。それに私たちってそもそもコーヒーとか飲めないもんね」
「そうそう!俺1回だけクラスのやつに連れられたことあんだけどさ、なに頼んだと思う?」
「…オレンジジュース?子供用の」
「当たり!“おまえここ来てマジかよ”ってすげえ引かれたわ。…って、この話は結構前にもしたか」
三好くんと高田さんだけが共有できるものがあるように、私と勝吾くんにしか知らなくて、私と勝吾くんしか共有できない思い出がちゃんとある。
こんなふうに会話を楽しんだことなんて、いつぶりだったかな…。
デートだってあの日以来していなくて、私たちの場合は自然消滅すると思っていた。
なのにさっき、高田さんの前で。
俺の彼女は桜乃だよ───だなんて。
「あ、それで桜乃」
「ん…?」
「あー…っと、んー、」