これが恋だなんて、知らなかったんだよ。
告白してくれたとき。
そのときも彼はこんなふうに目を逸らしてはキョロキョロさせて、なにかを言いたそうで言えなくて。
私に期待してるんだろうな…って感じることができる分かりやすい彼が好きだった。
「あれ、やっぱ売り切れてた?」
「………」
「クラスの奴らもみんな手にできなかったっぽくてさ。今まででいちばん人気らしくて」
ほら、変わってしまった。
今の勝吾くんは、私(が買ったゲーム)に、期待している。
馬鹿みたい。
少しでもあの頃に戻ったみたいで楽しいって感じてしまった自分が、馬鹿みたい。
「しょ、勝吾くん。そのことなんだけどね、やっぱりもう、そーいうのは…」
「友達が見かけたって言ってたんだよ。桜乃、朝から並んでたって」
だからゲットしてんだろ───?と、視線で伝えてくる威圧に、もう本当に終わっていると思った。
修復不可能。
たぶんこの人は、私が三好くんと行っているゲームにすら気づかないまま終わりそうだ。