これが恋だなんて、知らなかったんだよ。




そうだよね、そのためだけに付き合ってくれてただけだもんね。

それに勝吾くん、今もずっとチラチラと隙あらば高田さんを見ている。



「っ!」



ぽすっと、私の隣に誰かが座った。

ふわっと香ったホワイトムスク。
なぜか近すぎると思ってしまう距離感で。



「そろそろ入場時間ですって。センパイ」


「あ、…そう、なんだ」


「わりといい席取れてラッキーでしたよね」


「…そう、だね」



こういうところがある。

私が暗い顔を見せると、三好くんは違う方法で元気づけようとしてくるの。


そんなものを自然とやっているように見せて、意外とバレバレだったりもする。



「あれ…?高田さんは…?」


「…トイレだって」



そう言った三好くんが抱えるのは、Lサイズに見えるMサイズらしいポップコーン。

最初は頼んでから「こんなに食べきれるかな…」って不安になるのだけど、思ったより食べきれちゃうのが怖いところ。



「食べる?」


「えっ、いや…私はこれ、あるから」


「ジュースじゃん。俺とくにお腹すいてなかったけど、センパイも食べれるようにって思って大きいの買ったし。はい食べて」



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