乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「遅い!」

乙女レッドに変わった瞬間、あたしの胸をわしづかみにする学生の手に気付いた。

「我が名は、怪人チカン!」

にやりと笑うチカンに、

「きゃああ!」

あたしは、悲鳴を上げながら、蹴りを放った。

しかし、チカンは左腕で蹴りを捌くと、

右手を一度離した。

そして、回り込むように、今度はあたしのお尻を触った。

あたしの全身に、悪寒が走る。

「いやああ!」


あたしの絶叫に、教室内にいた蒔絵は気付いたけど、

「だりい」

顔を上げて、廊下を見ることすら、する気が起こらなかった。


「くそ!」

赤の戦闘服を身に纏い、身体能力が上がったはずのあたしの攻撃を、チカンはことごとくかわしていく。

「この動きは!」

半月ソルジャーは、目を見張った。

あたしの攻撃を、巧みなステップで避けながら、何度もあたしは、胸を触られていた。

その腕の動きが見えない。

「この動き…ボクシングか!」

半月ソルジャーの言葉に、チカンはフッと笑った。

「いかにも」

そして、またあたしの胸を揉む。

「あ、あんたね!スポーツマンが、こんなことしていいと思うの!」

あたしの攻撃は、華麗な足さばきに、当たらない。

「僕のリングは、満員電車。このステップは、満員電車の中でも、すばやく動く為!このジャブは、どんな時でも、一瞬で、尻を触る為!」

チカンは、目に見えない細かいジャブで、何度もあたしのお尻を触る。

「スポーツマンが、エロくないと思うなよ!思春期の男は、エロでいっぱいよ!」


「ち、調子に乗るな!」

あたしもパンチを繰り出すけど、簡単に避けられる。

「どんなにスピードがあろうが、素人のパンチが当たるかよ!」

チカンは、触って揉むと、一度は離れる。

そのような攻撃を繰り返す。

「チカンであることを認め、社会的な立場も捨て、進学も諦めた男の恐ろしさ!思い知るが、いいわ!ハハハ!」

チカンはにやけながら、触り続ける。



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