乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「脱走?」

「そう、こいつは組織の裏切り者!」


「ち、違う!我は月の使者!半月ソルジャー」

ポーズを決めて、会話を遮ろうとした半月ソルジャーを無視して、あたし達は会話を続ける。

「こいつは、研究所から、乙女ケースを盗み出し、逃げたのだ!我々は、この学園まで追い詰めたのだが…」

ここで、回想シーン。

月影ロボで応戦しながら、学園内に逃げ込んだ半月ソルジャーが両手に抱える数個の眼鏡ケース。

必死に走る半月ソルジャーは突然、何もないところで転んだ。

倒れた衝撃で、腕の中から飛び出す眼鏡ケース達。

そのまま、地面に転がると思われたが、

なんと!眼鏡ケースは空中に浮かび…各々学園の中に飛び去って、消えたのだ。




「貴様のせいで、三人もの乙女ソルジャーを目覚めさせてしまった…しかし、まだ全員が揃ったわけではない!今ならば、貴様達を倒し、眼鏡だけを回収すれば!」

バーコードは、着けていたカツラを取った。

「え?ハゲ散らかしてるのは…カツラ?」

あたしが驚いていると、カツラを脱いだバーコードの頭は、ガラスのようにきらきらと輝く…スキンヘッドになった。

「ハハハ!月のご加護がなければ、乙女ソルジャーにはなれまいて!しかし、我は違う!太陽こそが、我に力をくれる」

怪人バーコードの頭は、ソーラー電池内蔵だ!

どうせハゲたのなら、太陽を直に浴びるのならばと組織に改造された彼は、携帯やiPodを充電できる優れものだ。

それだけではない。

「くらえ!」

「え?」

頭から伸びた光が、あたしの手の甲に当たった。

数秒後、

「熱!」

あたしは思わず、手を光から離した。

バーコードの頭は、虫眼鏡のように、紙とかを燃やすことができるぞ。

だけど、燃やすには時間がかかる。

「地味な攻撃しやがって!」

あたしは、乙女ケースを取り出した。

「変身!」

だけど、眼鏡が装着されない。
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