乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「無駄だ!月の光がないと、乙女ソルジャーにはなれんわ」

バーコードはフッと笑うと、脱いだカツラを手にして、裏返した。

「くらえ!汗と加齢臭パンチ!」

それを手に巻き付けると、あたしに向かってくる。

「ひぇ〜!」

ツンと鼻に来る臭いをさせて、迫り来るバーコード!


「これは…何なのよ!?」

夏希には、何がどうなってるのかわからない。

逃げるあたしから、対応が遅れた夏希に、ターゲットを変えたバーコードは、夏希の顔面にパンチをたたき込んだ。

恐るべき臭いにより、夏希は気を失った。

「夏希!」

あたしは、夏希に駆け寄ろうとしたけど、カツラを振り回すバーコードに近付けない。

「レッド!」

半月ソルジャーは、股間に手をいれると、リモコンを取り出した。

「出でよ!月影ロボ!」

半月ソルジャーの叫びに呼応するかのように、屋上の扉を開けて、颯爽と登場した月影ロボ。

「馬鹿目!」

バーコードも股間から、リモコンを取り出した。

「何!?」

混乱する月影ロボ。


そして、



月影ロボは、半月ソルジャーの股間に鉄拳を食らわした。

「向こうの方が、最新型か…」

泡を吹いて、倒れる半月ソルジャー。

「半月ソルジャー!」

あたしは、カツラから逃げながら、舌打ちした。

「逃げられぞ!レッド!」

変身できないあたしを挟むように、バーコードと敵になった月影ロボが囲んだ。

「敵が…増えてるじゃないのよ!」

夏希と半月ソルジャーは、気を失っている。

「さあ!さっさと乙女ケースを渡せ!これは、もともと我ら組織のもの!」

右手でカツラを振り回し、左手でリモコンを持つバーコード。

別に、乙女ケースなんか渡してもいいのだけど…

あのカツラだけは勘弁してほしい。

あたしは、自分のいるところを確認した。扉は近い。

乙女ケースを投げて、その隙に逃げようと考えていると、何かがあたしの上空を飛び越えた。
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