乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「何これ…」

突然現れた黒タイツ軍団に、気持ち悪くなるあたしと違い、

九鬼は鼻を鳴らすと、

「なあ〜んだ。下っぱになっただけか」

残念そうに肩を落とした後、ゆっくりと息を吐き、身構えた。

「キイイ!キイイ!」

奇声を発する下っぱ達を睨み付け、

「負け犬が、吠えるな!」

九鬼は、襲いかかってくる数十人の下っぱを迎え撃つ。決して自分からは、攻撃しないで…。



数分後、屋上に転がる下っぱ軍団。


「す、凄い…」

あたしは、感動した。

カウンターってやつだろうか?

九鬼は、ほとんどその場を動くことなく、全員を倒したのだ。

「驚くことはないわ」

下っぱ達が動かないのを確認してから、九鬼はあたしを見た。

「あたしは、あなた達の先輩で…生徒会長。学園を守る為には、それ相当の力がいるのよ」


「で、でも…何か…強すぎるような」

あたしの言葉に、九鬼は苦笑すると、

じっとあたしを見て、

「あたしは、月夜の闇と同じ黒…。あなた達、他の色は、夜空を彩る星と同じ。輝いているのよ。特に、あなたはレッド!輝く星…恒星と同じ」

九鬼はにこっと笑い、

「あなたは、誰よりも強くなるわ」



「…」

九鬼の言葉に、あたしは何も言えなくなった。

なぜなら…微笑む九鬼の瞳の奥が、とても悲しそうだったからだ。

「九鬼…さ」

まだ呼び捨てにできないあたしに、いきなり九鬼は抱きついた。

「危ない!」

あたしがいた場所が、破裂した。

「フフフ…流石は、乙女ソルジャー。我の一撃をかわすとはな」

空中に浮かび、銃口をあたしに向けている謎の怪人…ではなかった。

明らかに、人とは違う生物。

腰に帯刀し、左手は銃口になっていた。

目は一つしかない。

「ま、まさか…魔神か!」

九鬼はあたしを庇いながら、真上を見上げた。

「いかにも!私は、下っぱや怪人より上の階級にいる魔神!ジュウトウホウイハンダーだ!」
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