乙女戦隊 月影 〜恥じらいの戦士〜
「彼女は一体…」

九鬼は眼鏡を外すと、女が消えた方を睨んだ。

「はあ〜」

そんな九鬼の背中を見つめながら、あたしはため息をついた。

(また…シリアスかよ)

なんか…九鬼とあたしの扱いが違うように感じていた。

あたしは一応…レッドなんだから、リーダーのはずなのに、いつもパンツを見せているだけのような…。


「ああ!こいつ、離さないよお!」

夏希は仕方なく、答案用紙を力任せに引っ張った。
ビリ!

答案用紙は破れた。

「ゲッ!」

名前の部分だけ、赤点オカマ教師の手の中に残った為、夏希は指で切れ端を何とか取り出そうと、獲得していた。

「まったく…」

あたしは、馬鹿らしくなって変身を解いた。






「はあ〜」

教室に戻ったあたしは、自分の答案用紙を見て、再びため息をついた。

冷静に見ると、これは酷い。

くしゃくしゃに丸めて、忘れようとしていると、

教室の扉が開いた。


「突然だが、転校生を紹介する」

入ってきたのは、熊五郎ともう1人。

「今月、アメリカから帰国し、今日からこの学校に通うことになった…十夜小百合君だ」

熊五郎に紹介された転校生は、別に頭を下げることなく、顎を少し上げ…

なぜかあたしを睨んでいた。

「乙女レッド…」

転校生は、あたしを睨みながら、あたしの正体をばらした。


おいっ!


生徒達が一斉に、振り向いたから、あたしも後ろを振り向いた。


「乙女レッド?」

転校生の口から出た言葉に、熊五郎は鼻で笑った。

「十夜君。それを、この学校で口にしたら、笑われるぞ。特に、乙女レッドは」
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