ジョーになりたかった男(懺悔)
直樹。お前はもう帰れ。なにかの時は連絡する。

肩へ手を置きながら

お前のせいじゃない。逆にお前がやられてたかもしれないんだ
ボクシングにはこういうことは避けて通れないことなんだ
気にするな...って、言ったって慰めにもならないが....
とにかく帰れ

直樹は言葉がなかった。ただ頷くしかなかった。

シャワーも浴びず帰り支度をしてジムを出たとき、ジムの前に日本チャンピオンの和田が待っていた。

直樹。
お前も知ってるように俺も同じ経験がある

直樹は和田の顔を直視出来ずに下を向いたまま聞いていた。

今は何も考えずに寝てろ
明日の見舞いには俺も付いてってやるから

その言葉に涙が出てくるのをとめられずにいた....ただ涙と嗚咽を漏らしていた。
自分のした事の重大さに身が張り裂けんばかりの重圧に押しつぶされそうなっていた。
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