ジョーになりたかった男(懺悔)
自責の念
その晩は一睡も出来ずに明くる朝ジムへ出向く。朝も早いというのに会長、マネージャー、和田がジムで話をしていた。

会長が和田に向かって
これからの予定だが、私と糸山と大場で見舞いに行く

僕も行きますよ
一応ジム頭ですから挨拶に

糸山が遮るように
いや。和田はチャンピオンだ
お前が顔をだせば事が大きくなる

そうだ
とにかく3人でお見舞いに行ってくるから和田は今度の試合に集中しろ

和田は渋々頷くと直樹の肩へ手をやりながら
誠心誠意を込めてお詫びしてこい

はい
力なく応えた。


3人はタクシーに乗り、加藤が入院している。病院へ向かった。
タクシーの中で緊張の面持ちの直樹はやっと言葉を発した。

容態の方はどうなんですか?

糸山は暗い顔を無理やり笑顔を引きつらせながら
手術はすんだが、意識は回復していない
命は助かるかもしれないが、後遺症が残るかもしれないとの話だった


後遺症?
直樹はその言葉を聞き、絶句する。 しばし呆然と俯くしかなかった。

あの時、あそこでやめていれば.....
あの右ストレートさえ打たなければ.....
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