ジョーになりたかった男(懺悔)
これでいいのか?俺は逃げるのか?俺は悔いは無いのか?

判らない。なにも考えられない。

ただもうこの拳を使いたくない。この凶器を....


ジムのフロアーでは和田がリングでシャドーボクシングをしていた。

シュッ!!
シュッ!!

和田が直樹に気が付きリングから声を掛ける。

おう!直樹!早く支度してリングへ上がれ!

直樹は首を振る

ん?

どうした?具合でも悪いのか?

直樹は和田の目を見ながら
もう...ボクシングは....

その目はもう格闘家の目ではないことに和田は気付く。輝くキラキラとした明日を目指して命を掛ける男の目ではなくなっていた。
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