ジョーになりたかった男(懺悔)
転落の一歩
その後、直樹のジムの先輩達も順調に勝ち進み。この日の主役。ミドル級王者。和田も5RTKO勝ちし2度目の王座防衛に成功。意気揚々と東京に戻り次の試合に向け始動開始した。

直樹はデビュー戦を勝利で飾ったことにより新人王予選出場権利を得、和田も東洋太平洋王者への挑戦も決まりかけていた。

試合から3日後、直樹はジムで練習を始めた。新人王予選前にもう1試合組まれたのだった。
試合は1ヶ月後となっていた。

マネージャーの糸山がマイクで
大場選手。大場直樹選手1階まで来てください。

地下にいた直樹が1階に上がってくるとマネージャーの糸山がニコニコ微笑みながら

直樹。これ
と、封筒を手渡す。

ファイトマネーだ。マネジメント料差し引き、手取り33000円

あっ。どもです
直樹は無愛想に受け取る。
内心バイト代よりいいな〜
と、思ったのだが、悟られないようにわざと、これぽっちかい?と、言いたげな顔を向けた。


なんだ〜?不服そうだな〜
もっと稼ぎたかったら勝ち進んでいくんだな

そこへ会長が直樹に声を掛ける
いいか。新人王なんて通過点なんだ。お前の左は天下一品なんだから
一気に駆け上るんだ!

はい!

直樹はチャンピオンになる素質がある
他のトレーナーには直樹に手を出させるなよ。俺が指導する
直樹の指導は会長自ら指導することになった。

会長直接の指導は王者和田だけだったことからも、直樹への期待が大きかったことがわかる。

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