神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
三人共、悲鳴を聞きつけて来たんだろうな。
慌てて駆けつけたらしく、三人共寝間着だ。
それは良いとして、気になるのはシルナのパジャマ。
一面真っ茶色で、胸のところに「I LOVE CHOCOLATE」と書いてある。
何だそのパジャマは。
言われなくても知ってる、って言うか何処に売ってんだ、その謎パジャマは。
ツッコミどころが満載だが、しかしイレースは、そんなシルナなど目に入っていないかのように。
「賊か何かですか」
と、尋ねた。
幸いなことに、賊ではない。
「それから、あなた達、何故こんなところにいるのですか」
女子生徒二人と、それから元暗殺者組をじろりと見ながら、イレースが聞いた。
「校舎に忘れ物をして、それを取りに来たらしい」
「忘れ物ですって…?」
「令月とすぐりはいつも通りだ。飽き足らずに、今日も無断外出だ」
「無断外出ですって…?」
眉が釣り上がるイレースである。
これは怖い。
しかし。
「令月達は責めても良いが、この二人は責めないでやってくれ」
俺は、二人の女子生徒を庇うように言った。
「説教なら、俺がさっきしたから。令月達はいくらでも怒って良いから、この二人は見逃してやってくれ」
「えー。俺達のことも庇ってよ」
すぐりが、そう言って口を尖らせた。
うるせぇ。
お前達は常習犯なんだぞ。誰が許すか。
「そっか…。じゃあ、今回はなかったことにしよう」
「怖い思いしたね。大丈夫?」
天音とシルナはすぐに了承して、二人に優しい言葉をかけた。
が、イレースは。
「…忘れ物ごときで、勝手に学生寮を抜け出すなんて…。そもそも校舎内に忘れ物をするなんて…」
無断外出なんて許さない、そもそも忘れ物をすること自体が有り得ない、とばかりに、ぶつぶつ言っていたが。
「ま、まぁまぁ、イレースさん。忘れ物くらい、誰だってするよ」
優しい天音が、二人を庇うようにそう言った。
しかし。
「詰めが甘いから、そういうミスを犯すんです」
さすがイレース。容赦がない。
その言い分も分かるけど、でも見逃してやろうぜ。
初犯なんだし、怖い思いもしたんだからさ。
「もう良いだろ、イレース。それより、二人を女子寮まで送ってやってくれないか」
俺はイレースにそう頼んだ。
さすがに、こんな時間に俺達が女子寮に足を踏み入れる訳にはいかないならな。
「…分かりましたよ。さぁ、二人共来なさい」
「は、はい」
二人の女子生徒は、よろよろと起き上がり。
何とも釈然としない様子ではあったが、大人しくイレースにくっついて、学生寮に戻っていった。
ふぅ、一件落着…。
…って、そんな訳ないだろ。
慌てて駆けつけたらしく、三人共寝間着だ。
それは良いとして、気になるのはシルナのパジャマ。
一面真っ茶色で、胸のところに「I LOVE CHOCOLATE」と書いてある。
何だそのパジャマは。
言われなくても知ってる、って言うか何処に売ってんだ、その謎パジャマは。
ツッコミどころが満載だが、しかしイレースは、そんなシルナなど目に入っていないかのように。
「賊か何かですか」
と、尋ねた。
幸いなことに、賊ではない。
「それから、あなた達、何故こんなところにいるのですか」
女子生徒二人と、それから元暗殺者組をじろりと見ながら、イレースが聞いた。
「校舎に忘れ物をして、それを取りに来たらしい」
「忘れ物ですって…?」
「令月とすぐりはいつも通りだ。飽き足らずに、今日も無断外出だ」
「無断外出ですって…?」
眉が釣り上がるイレースである。
これは怖い。
しかし。
「令月達は責めても良いが、この二人は責めないでやってくれ」
俺は、二人の女子生徒を庇うように言った。
「説教なら、俺がさっきしたから。令月達はいくらでも怒って良いから、この二人は見逃してやってくれ」
「えー。俺達のことも庇ってよ」
すぐりが、そう言って口を尖らせた。
うるせぇ。
お前達は常習犯なんだぞ。誰が許すか。
「そっか…。じゃあ、今回はなかったことにしよう」
「怖い思いしたね。大丈夫?」
天音とシルナはすぐに了承して、二人に優しい言葉をかけた。
が、イレースは。
「…忘れ物ごときで、勝手に学生寮を抜け出すなんて…。そもそも校舎内に忘れ物をするなんて…」
無断外出なんて許さない、そもそも忘れ物をすること自体が有り得ない、とばかりに、ぶつぶつ言っていたが。
「ま、まぁまぁ、イレースさん。忘れ物くらい、誰だってするよ」
優しい天音が、二人を庇うようにそう言った。
しかし。
「詰めが甘いから、そういうミスを犯すんです」
さすがイレース。容赦がない。
その言い分も分かるけど、でも見逃してやろうぜ。
初犯なんだし、怖い思いもしたんだからさ。
「もう良いだろ、イレース。それより、二人を女子寮まで送ってやってくれないか」
俺はイレースにそう頼んだ。
さすがに、こんな時間に俺達が女子寮に足を踏み入れる訳にはいかないならな。
「…分かりましたよ。さぁ、二人共来なさい」
「は、はい」
二人の女子生徒は、よろよろと起き上がり。
何とも釈然としない様子ではあったが、大人しくイレースにくっついて、学生寮に戻っていった。
ふぅ、一件落着…。
…って、そんな訳ないだろ。