神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「さて、気を取り直して、巡回を再開しようか」

「そーだね」

待て、お前ら。

お前らだよ。お前らがいるせいで、全然一件落着にならない。

「ちょっと待て、令月、すぐり」

「?何?」

「巡回するな。お前達も学生寮に帰れ」

「…?」

きょとんと首を傾げるな。

何不思議そうにしてるんだ。お前達も生徒なんだぞ。分かってるか?

分かってないんだろうな、多分。

「あれだけ、あれっだけ、勝手に学生寮を抜け出すなって、口を酸っぱくして言ってるだろ!」

「そー言われても…ねぇ、『八千代』」

「うん…そうだよね」

何がそうなんだよ。

二人で勝手に納得してんじゃねぇ。

「良いから、お前達も帰れ!」

「でも、僕達は夜の方が活発化するから…」

夜行性かよ。

「子供は寝る時間だ。早く帰って寝ろ」

「えー。つまんない」

「イレースに説教されたくなかったら、さっさと帰った方が身の為だぞ」

「うわー、嫌な脅し…」

何とでも言え。

「仕方ない…。今日は帰ろっか」

「そーだね。じゃ、また明日の夜来るよ」

来るな。

お前達はいい加減、夜間の無断外出をやめろ。

「やれやれ、全く…」

ランタンを片手に、二人で学生寮に戻っていく令月とすぐりの背中を見つめて、俺は深々と溜め息をついた。
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