神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
――――――夢を見ていた。
また同じ夢。
いや…同じではないか。
夢の中は、灰色のモヤがかかっていた。
…ここは何処なんだろう。一体何の景色?
見覚えはあるはずなのに、思い出せない。
場面が、また移り変わる。
…ここも知ってる。…知ってるはずだ。
知ってるはずなのに、思い出せなかった。
ここも灰色のモヤが立ち込めていて、はっきりと見えない。
もっとはっきり見えたら、何か思い出すかもしれないのに。
場面が移り変わる。順番に、映画の切り抜きみたいに。
灰色のモヤに覆われて、はっきりと見えない景色。
だけど私は、ここを知っている。
モヤの隙間から見える景色に、既視感を覚えるから。
懐かしさすら感じてるから。
でも、戻りたいとは思わない。
ここは、一体何の景色?
知っているはずなのに、何故か思い出せな、
「…え?」
移り変わった場面。
何処か高いところから、地上を見下ろしているような景色だった。
…これは何?
さっきまでは、思い出せないけど、何処かで見覚えがある景色ばかりだったのに。
この場所は…この場所を、私は知らない。全く記憶にない場所だ。
…どういうこと?
これは、私の未来の景色?
それとも過去なの?…でも、誰の?
…私の記憶じゃない…。
じゃあ、これを見ているのは。この景色を見ているのは。一体誰なの…?
そのときだった。
誰かの声が、私の耳に届いた。
「…神の器よ」
…え?
振り向くと、そこには灰色の人影がいた。
…今、私に何て言っ…。
「抵抗をするな。我が悲願は成就する。我が力を取り戻せば、この世界は…」
「…何言ってるの?」
「何も思い出す必要はない。神の器に、自我など必要ない…。無駄な抵抗はするな」
…この人、何を言ってるんだろう。
いや、違う。
この人は、人じゃなくて…、
「お前は…我のモノだ」
…違う。私は私のものだ。
この身体は、私だけの…ものの、はず。
…本当に、そう?
この身体は、本当に私だけのものなの?
だって私の中には…もう一人…。
…いや、もう一人…じゃない。
私の中には、もう二人、
「…いつまで寝てるの?早く起きなよ」
…誰かが、私を夢の中から引き摺り出した。
また同じ夢。
いや…同じではないか。
夢の中は、灰色のモヤがかかっていた。
…ここは何処なんだろう。一体何の景色?
見覚えはあるはずなのに、思い出せない。
場面が、また移り変わる。
…ここも知ってる。…知ってるはずだ。
知ってるはずなのに、思い出せなかった。
ここも灰色のモヤが立ち込めていて、はっきりと見えない。
もっとはっきり見えたら、何か思い出すかもしれないのに。
場面が移り変わる。順番に、映画の切り抜きみたいに。
灰色のモヤに覆われて、はっきりと見えない景色。
だけど私は、ここを知っている。
モヤの隙間から見える景色に、既視感を覚えるから。
懐かしさすら感じてるから。
でも、戻りたいとは思わない。
ここは、一体何の景色?
知っているはずなのに、何故か思い出せな、
「…え?」
移り変わった場面。
何処か高いところから、地上を見下ろしているような景色だった。
…これは何?
さっきまでは、思い出せないけど、何処かで見覚えがある景色ばかりだったのに。
この場所は…この場所を、私は知らない。全く記憶にない場所だ。
…どういうこと?
これは、私の未来の景色?
それとも過去なの?…でも、誰の?
…私の記憶じゃない…。
じゃあ、これを見ているのは。この景色を見ているのは。一体誰なの…?
そのときだった。
誰かの声が、私の耳に届いた。
「…神の器よ」
…え?
振り向くと、そこには灰色の人影がいた。
…今、私に何て言っ…。
「抵抗をするな。我が悲願は成就する。我が力を取り戻せば、この世界は…」
「…何言ってるの?」
「何も思い出す必要はない。神の器に、自我など必要ない…。無駄な抵抗はするな」
…この人、何を言ってるんだろう。
いや、違う。
この人は、人じゃなくて…、
「お前は…我のモノだ」
…違う。私は私のものだ。
この身体は、私だけの…ものの、はず。
…本当に、そう?
この身体は、本当に私だけのものなの?
だって私の中には…もう一人…。
…いや、もう一人…じゃない。
私の中には、もう二人、
「…いつまで寝てるの?早く起きなよ」
…誰かが、私を夢の中から引き摺り出した。