神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
6時間目が終わって、お掃除をして、ようやく放課後がやって来た。

ふー、長い一日だった。

これでやっとお家に帰れる…と、思ったのに。

現実はそんなに甘くなかった。

放課後になると、すぐにシファちゃんが私のもとにやって来た。

「さて、ベリーシュ…。行こっか」

と、シファちゃん。

…行く?何処に?

帰るんじゃないの?まだ授業があるの?あんなに勉強したのに?

私、もうこれ以上頭の中に詰め込めないよ。

「何処に行くの?」

「何処って、塾でしょ。しかも今日は、月に一回の個別テストの日だよ」

…個別テスト…。さっき言ってたね。

ん?じゅく…。じゅく?

じゅくって何だろう。何をする場所?

個別テストってシファちゃん言ってたから、そこはテストを受ける場所なんだろうか。

テストを受けるってことは、学校とはまた別に、お勉強をする場所なのかもしれない。

…えっ。学校が終わったのに、まだ勉強するの?

勉強漬けだぁ…。

そんなに一日中お勉強ばっかりしてたら、頭がカチコチになっちゃうよ。

私なんて、今日一日だけで頭の中がぎゅうぎゅう詰め状態なのに。

これ以上、お勉強する場所には行きたくなかったけど。

シファちゃんの手前、「行かない」とは言い出せず。

何より、シファちゃんの案内がないと、家に帰りたくても帰り道が分からない。

自分が今朝、どの列車に乗ってきたのかも、もう覚えてない。

仕方なく私は、大人しくシファちゃんについていって…じゅく、という場所に向かった。

そしてそこで、再び…今度は、もっとたくさんの科目のテストを受けさせられたのだった。

もう、頭の中が古代文字でいっぱいでぐちゃぐちゃだよ。
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