神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
ママに見せた後、パパが見ると。
ひょえってなってたママとは違って、パパは大笑いだった。
テストだけで人を笑わせられるなんて、むしろ凄いことだと思う。
しかし。
「あのね、パパ。笑い事じゃないのよ?」
ママは、ジトーっとパパを睨んだ。
「いや、すまん。でも、見事だなと思って。いっそあっぱれじゃないか?」
「そんなこと言って、すぐベリーシュを甘やかすんだから…。たまにはガツンと言って頂戴」
ガツン。
「あのね、学校はともかく…。勿論学校も頑張らなきゃいけないけど、塾だって安くないのよ?真面目に勉強してもらわないと、塾代が無駄になっちゃうわ」
と、ママは愚痴った。
あのじゅくって、そんなにお金かかってたんだ。
私、古代文字研究家になるつもりはないから、じゅくやめても良いよ?
どんなに熱心に勉強したって、私には古代文字は読めないだろうし…。
記憶が戻る見込みも、今のところないし…。
これ以上お金を無駄にするくらいなら、いっそやめたい。
「たまには良いじゃないか。塾をサボった訳でもないし」
と、パパ。
「全部0点を取ってくるんじゃ、サボってるようなものじゃない」
と、ママ。
それは違うと思うけどなぁ。
ちゃんとテストを受けて、全部0点を取るのと。
そもそもテストも受けずに、結果全部0点になるのは、きっと違うよ。
点数は同じ0点だけど。
正々堂々立ち向かった結果の敗北と、敵前逃亡による敗北は意味が違うよ。
敗北には変わりないじゃないかと言われたら、それは言い返せないが。
「まぁ、そう怒ってやるな。たかだか試験の一つや二つで」
パパは、あくまでおおらかだった。
顔が半笑いだから、多分ちょっと面白がってる。
「全くもう…。そうやって娘に甘いんだから…。…分かったわ」
と、溜め息をつくママ。
「今回は見逃してあげるけど、その代わり、次は頑張るのよ。良い?」
「…うん…」
まるで、今回は頑張っていないかのような言い方。
ちゃんと頑張ったよ、私。
ただ…ちょっと記憶がなくなって困ってるってだけで…。
次の試験までに記憶が戻ったら、私もシファちゃんみたいに良い点数を取れるのかな?
…でも、私は…。
試験なんかより、もっと大切な事があった…ような。
ひょえってなってたママとは違って、パパは大笑いだった。
テストだけで人を笑わせられるなんて、むしろ凄いことだと思う。
しかし。
「あのね、パパ。笑い事じゃないのよ?」
ママは、ジトーっとパパを睨んだ。
「いや、すまん。でも、見事だなと思って。いっそあっぱれじゃないか?」
「そんなこと言って、すぐベリーシュを甘やかすんだから…。たまにはガツンと言って頂戴」
ガツン。
「あのね、学校はともかく…。勿論学校も頑張らなきゃいけないけど、塾だって安くないのよ?真面目に勉強してもらわないと、塾代が無駄になっちゃうわ」
と、ママは愚痴った。
あのじゅくって、そんなにお金かかってたんだ。
私、古代文字研究家になるつもりはないから、じゅくやめても良いよ?
どんなに熱心に勉強したって、私には古代文字は読めないだろうし…。
記憶が戻る見込みも、今のところないし…。
これ以上お金を無駄にするくらいなら、いっそやめたい。
「たまには良いじゃないか。塾をサボった訳でもないし」
と、パパ。
「全部0点を取ってくるんじゃ、サボってるようなものじゃない」
と、ママ。
それは違うと思うけどなぁ。
ちゃんとテストを受けて、全部0点を取るのと。
そもそもテストも受けずに、結果全部0点になるのは、きっと違うよ。
点数は同じ0点だけど。
正々堂々立ち向かった結果の敗北と、敵前逃亡による敗北は意味が違うよ。
敗北には変わりないじゃないかと言われたら、それは言い返せないが。
「まぁ、そう怒ってやるな。たかだか試験の一つや二つで」
パパは、あくまでおおらかだった。
顔が半笑いだから、多分ちょっと面白がってる。
「全くもう…。そうやって娘に甘いんだから…。…分かったわ」
と、溜め息をつくママ。
「今回は見逃してあげるけど、その代わり、次は頑張るのよ。良い?」
「…うん…」
まるで、今回は頑張っていないかのような言い方。
ちゃんと頑張ったよ、私。
ただ…ちょっと記憶がなくなって困ってるってだけで…。
次の試験までに記憶が戻ったら、私もシファちゃんみたいに良い点数を取れるのかな?
…でも、私は…。
試験なんかより、もっと大切な事があった…ような。