神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…で、そんな訳だから。

朝から、魔導部隊大隊長達を集めて、シルナと羽久を交えて、話し合いの場を持つ約束なので。

俺は会議までに奴を起こし、着替えさせ、顔を洗わせ、朝食を摂らせ。

身だしなみを整えさせて、時間までに会議室に連れていかなければならないのだ。

…今更だけど、俺は保護者か何か?

やってることがもう、完全に、幼稚園児の親じゃん。

こんな仕事、絶対給料のうちに入ってないから。

…あぁ、もう考えまい。

考えたら頭が痛くなる。

どれもこれも、全ては自分で起きないあいつのせいだ。

「ベリクリーデ!起きろ!」

部屋の扉を開けると、案の定。

ベリクリーデは、未だにベッドの中でもぞもぞしていた。

…?

…何だ?部屋の中に一瞬…何かが腐ったような匂いがした…ような。

何の臭いだ?これ…。

「んん…」

ベッドの上のベリクリーデが、もぞもぞと動き出した。

…起きたか。

「…朝だぞ、ベリクリーデ」

「ん〜…。おはよー…ジュリス…」

「おはよう」

眠い目をゴシゴシと擦って、ベッドの上に座るベリクリーデ。

…ふむ。

「今日、何の日か分かってるか?」

「…分かってるよぅ…」

「じゃあ、何の日か言ってみろ」

「…えぇっと、ジュリスの誕生日?」

「残念だったな。違う」

やっぱり全然分かってないじゃないか。

俺の誕生日なんか、どうでも良いんだよ今は。

「会議だよ、会議。イーニシュフェルト魔導学院から、学院長と羽久が来るから」

「あの、変な、魔法道具のこと?」

「そうだよ」

分かってるじゃないか。それだ。

分かってるなら話が早い。

「さっさと起きて、さっさと準備しろ」

「んー…」

相変わらず、床に放り投げている制服を掴んで渡すと。

ベリクリーデは俺に背を向けて、パジャマを脱ぎ始めた。

俺の見てる前で脱ぐなっての。

「着たよー」

「よーし。じゃあ行くか」

ベリクリーデも、ちゃんと着替えたことだし。

早速、会議室に向かうか。
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