神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…さてと。偽物の退治は、案外簡単に済んだな。

それより、厄介なのは。

「断絶空間…か…」

あいつ、まーた面倒なところに連れて行かれてんなぁ。

しかも、今回はいつかの…東方都市トラーチェのときより、ずっと厄介だぞ。

何せ、断絶空間だもんな。

そう簡単には取り戻せないだろう。悔しいが、ドッペルゲンガーの言う通りだ。

だからって、諦めるつもりは毛頭ないけど。

やれやれ。どうしたもんか…。

…どうしたもんも糞もないよな。

「…やるしかないだろ」

俺に、選択肢なんてないからな。

そこにいるのなら、どうやってでも迎えに行くまでの話だ。

手段なんか二の次だな。

自分に出来ることをやるまでだ。

「…ベリクリーデ」

聞こえてるか。俺の声が。

例え、この声が届いていないとしても。

待ってろよ。

「俺は絶対に、お前を助け出す」

そう呟いて、俺はベリクリーデの部屋を後にした。









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