神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「魔弾装填…。…lulf ehargc」

キュレムの周囲に浮かび上がった魔銃に、キュレムの魔力が込められた。

…爆発的な魔力だ。

「kocl-no」

魔銃の銃口が、ターゲットを絞り込んだ。

この距離なら…キュレムは、絶対に外さない。

キュレムの魔銃に狙われたら、俺でさえ逃げるのに難儀するくらいなのだ。

回避手段を持たない断絶空間など、キュレムに狙われれば、ひとたまりもないだろう。

「…eirf」

キュレムがそう呟くなり。

魔銃の銃口から、爆発的な魔力の弾が発射された。

あまりに凄まじい魔力の余波に、吹き飛ばされてしまいそうになった。

そして、同時に。

「enterspaci neleportatito」

キュレムの相棒であるルイーシュが、キュレムに続いて追撃した。

こちらも、キュレムに負けず劣らず凄まじい魔力だ。

二人の聖魔騎士団魔導部隊大隊長の、渾身の魔力が…断絶空間の入り口に叩きつけられた。

確かに、断絶空間の入り口に亀裂が入った。

…本当に、苦労かけるな。

若い二人に、こんなにも無理を強いたのだ。

俺も…負けてられねぇよな。

…だから。

「…まさか、また日の目を見ることになるとはな」

こんなもの、二度と世の中に姿を現すつもりはなかったのに。

人生、何があるか分からないものだ。

そして、そんなときの為に…持っていて良かった。

お陰で俺は…大切な人を…ベリクリーデを…助けに行くことが出来る。

俺は、自分の体内に封印していた剣の名前を呼んだ。

「…目覚めろ。…『魔剣ティルフィング』」

赤黒い刀身をした、一振りの剣を召喚した。
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