神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
イレースは、用事を済ませるなり、さっさと退室しようとしたか。
俺は、それを引き留めた。
折角全員揃ったことだし、改めて話し合っておこうと思ったのだ。
「先日の…『オオカミと七匹の子ヤギ』の件だが…」
「あぁ、羽久だけどっぺるげんがーが出なかったんだよね。ここにいる皆出たのに、羽久だけ出なかった」
「そーそー。皆自分のどっぺるげんがーを退治したのにね〜。羽久せんせーだけ何もしてないよね。何でだろーね?」
…あのさ。
引き留めておいてアレだけど、ちょっとこの、元暗殺者組…窓から放り出して良いか?
地味に心を抉ってくるの、やめろ。
俺だって、ちょっと気にしてるんだからな。
仕方ないだろ。誰にドッペルゲンガーが出るのか、こちらから依頼出来る訳じゃない。
…しかし、何で俺だけ出なかったんだろうな?
「あれじゃないですか。羽久さんは、以前レーヴァテインが出てましたし。ドッペルゲンガー側も、二度も三度もそっくりさんを見せるのは気の毒だと思って、配慮してくれたのでは?」
と、ナジュ。
何だそりゃ。
そういう配慮は要らない。
「それより、今回の童話シリーズ…」
「羽久、チョコカステラおかわりあげる!」
きらきらと目を輝かせながら、チョコカステラを勧めるシルナ。
「…」
…あのさ。
自分から始めておいてアレだけど、やっぱり解散して良いかな?
まともに話を聞く気がある奴、多分イレースと天音しかいない。
「心外ですね。僕も含めてくださいよ」
「うるせぇ」
お前は話を聞く気があるんじゃなく、心を読む気があるだけだろ。
「…私、もう帰っても良いですか」
「ちょっと待てイレース。早まるな」
「このド腐れ学院長の、頭の中に詰まった砂糖を捨ててきてください。話はそれからです」
俺もそう出来たら良いと思うんだけど、でも出来ないんだよ。
出来るなら、とっくにやってるっての。
「ま、まぁまぁ…。こんなゆったり出来るのも、『オオカミと七匹の子ヤギ』の件が解決したからだよ。良いことだと思おうよ」
と、ポジティブ思考の天音である。
天音だけが、このメンバーの唯一の良心であり、清涼剤だな。
天音がいなかったら、どうなってたことか。
パーティ崩壊だよ、今頃。
俺は、それを引き留めた。
折角全員揃ったことだし、改めて話し合っておこうと思ったのだ。
「先日の…『オオカミと七匹の子ヤギ』の件だが…」
「あぁ、羽久だけどっぺるげんがーが出なかったんだよね。ここにいる皆出たのに、羽久だけ出なかった」
「そーそー。皆自分のどっぺるげんがーを退治したのにね〜。羽久せんせーだけ何もしてないよね。何でだろーね?」
…あのさ。
引き留めておいてアレだけど、ちょっとこの、元暗殺者組…窓から放り出して良いか?
地味に心を抉ってくるの、やめろ。
俺だって、ちょっと気にしてるんだからな。
仕方ないだろ。誰にドッペルゲンガーが出るのか、こちらから依頼出来る訳じゃない。
…しかし、何で俺だけ出なかったんだろうな?
「あれじゃないですか。羽久さんは、以前レーヴァテインが出てましたし。ドッペルゲンガー側も、二度も三度もそっくりさんを見せるのは気の毒だと思って、配慮してくれたのでは?」
と、ナジュ。
何だそりゃ。
そういう配慮は要らない。
「それより、今回の童話シリーズ…」
「羽久、チョコカステラおかわりあげる!」
きらきらと目を輝かせながら、チョコカステラを勧めるシルナ。
「…」
…あのさ。
自分から始めておいてアレだけど、やっぱり解散して良いかな?
まともに話を聞く気がある奴、多分イレースと天音しかいない。
「心外ですね。僕も含めてくださいよ」
「うるせぇ」
お前は話を聞く気があるんじゃなく、心を読む気があるだけだろ。
「…私、もう帰っても良いですか」
「ちょっと待てイレース。早まるな」
「このド腐れ学院長の、頭の中に詰まった砂糖を捨ててきてください。話はそれからです」
俺もそう出来たら良いと思うんだけど、でも出来ないんだよ。
出来るなら、とっくにやってるっての。
「ま、まぁまぁ…。こんなゆったり出来るのも、『オオカミと七匹の子ヤギ』の件が解決したからだよ。良いことだと思おうよ」
と、ポジティブ思考の天音である。
天音だけが、このメンバーの唯一の良心であり、清涼剤だな。
天音がいなかったら、どうなってたことか。
パーティ崩壊だよ、今頃。