神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「何で幽霊が出ると、お前が暇になるんだ?」
「稽古場に出る、って噂が流れてるんでしょう?」
あぁ。第二稽古場だっけ?
さっき配られた号外にも、インタビュー記事が載ってた。
「あれのせいで、最近、放課後に稽古場に来る生徒が激減してるんですよ」
何だと?
「実習試験が近いっていうのに、皆幽霊を怖がって、稽古場に来ないんです。お陰で僕はこの通り、暇を持て余してますよ」
と、ナジュはつまらなさそうに言った。
ナジュは放課後になると、よく稽古場に行って、自主練をする生徒の指導に当たっている。
そうやって生徒からの好感度を上げることで、シルナの座を脅かそうとしているのだ。
しかし。
稽古場に幽霊が出るという噂のせいで、稽古場に来る生徒が減っている、と。
実習試験が近いこの時期は、自主練習に励む生徒が、稽古場に入り切らないくらいやって来るのが常だというのに。
ナジュが暇を持て余すほど、稽古場は閑古鳥が鳴いているというのか。
それは…重症だな。
「学生寮だけは、未だに幽霊の目撃情報がないらしいので。生徒にとっては学生寮だけが『安全地帯』なんでしょうね」
それで、放課後になったら校舎に残らず、さっさと学生寮に帰ってしまう…と。
そんな…。
「試験が近いというのに、幽霊怖さに、練習をサボっていると…?」
イレースの眼光が、ギラギラと光っていた。
怖っ。
「そうなりますね。今回の試験は期待出来そうにないです」
「…」
邪悪なオーラを放つイレースは、目を釣り上げて、鋭い眼光をギラギラさせていた。
下らない噂を真に受けて、幽霊だ何だと騒いでいるだけでも、イレースにとっては腹立たしいのだろう。
その上幽霊が怖いからと、試験の為の稽古もせずに、さっさと学生寮に帰ってしまう生徒が多数いると聞き。
鬼教官イレースの、堪忍袋の緒が切れたらしい。
「…良いでしょう。こうなったら、生徒の目を覚まさせてあげましょう」
目、目を覚まさせる?
「って、どうやるんだ…?」
「本当に幽霊がいるのかどうか、確かめるんですよ」
えぇ?
「どうせいないに決まっていますが…。仮にいたとしても、丁度良いです。校舎内を彷徨く輩は成敗してくれます」
幽霊が相手だろうと、不法侵入者に容赦はしない主義。
「我々教員がこの目で確かめて、幽霊などいないのだと生徒に証明してみせましょう」
…成程。
それは…名案だな。
…気は進まないけど。
「稽古場に出る、って噂が流れてるんでしょう?」
あぁ。第二稽古場だっけ?
さっき配られた号外にも、インタビュー記事が載ってた。
「あれのせいで、最近、放課後に稽古場に来る生徒が激減してるんですよ」
何だと?
「実習試験が近いっていうのに、皆幽霊を怖がって、稽古場に来ないんです。お陰で僕はこの通り、暇を持て余してますよ」
と、ナジュはつまらなさそうに言った。
ナジュは放課後になると、よく稽古場に行って、自主練をする生徒の指導に当たっている。
そうやって生徒からの好感度を上げることで、シルナの座を脅かそうとしているのだ。
しかし。
稽古場に幽霊が出るという噂のせいで、稽古場に来る生徒が減っている、と。
実習試験が近いこの時期は、自主練習に励む生徒が、稽古場に入り切らないくらいやって来るのが常だというのに。
ナジュが暇を持て余すほど、稽古場は閑古鳥が鳴いているというのか。
それは…重症だな。
「学生寮だけは、未だに幽霊の目撃情報がないらしいので。生徒にとっては学生寮だけが『安全地帯』なんでしょうね」
それで、放課後になったら校舎に残らず、さっさと学生寮に帰ってしまう…と。
そんな…。
「試験が近いというのに、幽霊怖さに、練習をサボっていると…?」
イレースの眼光が、ギラギラと光っていた。
怖っ。
「そうなりますね。今回の試験は期待出来そうにないです」
「…」
邪悪なオーラを放つイレースは、目を釣り上げて、鋭い眼光をギラギラさせていた。
下らない噂を真に受けて、幽霊だ何だと騒いでいるだけでも、イレースにとっては腹立たしいのだろう。
その上幽霊が怖いからと、試験の為の稽古もせずに、さっさと学生寮に帰ってしまう生徒が多数いると聞き。
鬼教官イレースの、堪忍袋の緒が切れたらしい。
「…良いでしょう。こうなったら、生徒の目を覚まさせてあげましょう」
目、目を覚まさせる?
「って、どうやるんだ…?」
「本当に幽霊がいるのかどうか、確かめるんですよ」
えぇ?
「どうせいないに決まっていますが…。仮にいたとしても、丁度良いです。校舎内を彷徨く輩は成敗してくれます」
幽霊が相手だろうと、不法侵入者に容赦はしない主義。
「我々教員がこの目で確かめて、幽霊などいないのだと生徒に証明してみせましょう」
…成程。
それは…名案だな。
…気は進まないけど。