神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
部活終わり、なのはいーけどさ。

でも、部活が始まったの、つい10分前なんだけど。

つい10分前にやって来て、花壇と畑に水をやって、今日は草取りかなーと思ってたら。

あっという間に、今日の部活終了。

はやっ。

いくらなんでも、活動時間短過ぎない?

「…?」

『八千代』も、きょとんと首を傾げている。

しかし、最近『八千代』も、当たり前のように園芸部に顔を出すようになったよね。

これって、結構危険なことだと思うんだけど。

ツキナが「令月君のこと好き」とか言い出したら、どーしよ。

そのときは、もう一回『八千代』と真剣勝負しよう。

『八千代』は手強い相手だけど、ツキナの為なら、俺は勝ってみせるよ。

…さて、それはそれとして。

「どーしたの?ツキナ…」

俺は、ツキナにそう尋ねた。

いつもなら「今日は畑を耕します!」とか、「野菜の苗を植えます!」とか、色々活動してるのに。

今日は、たった10分で部活終了。

今日は何もやることがない、とか?

いや、そんなはずは。

何もやることがなくても、草取りは毎日やってるんだし。

もしかして、ツキナ、これから用事でもあるのかなー。

「補習授業でもあるの?」

「…ないけど…」

ないんだ。

じゃあ、何で今日はこんなに、部活終わるの早いんだろう?

あ、もしかして。

「あ、分かった。稽古場に練習しに行くんだ?」

もうすぐ、実習の試験があるもんね。

この時期には、生徒達は稽古場に入り浸って、自主練に励んでいる。

ツキナもそのつもりなんだろう。

…と、思ったが。 

「ううん。部活が終わったら、学生寮に帰る」

とのこと。

え、何で?

まだ放課後になったばかりなのに、もう学生寮に帰るの?

「稽古場には行かないの?」

「行かないよ!危険地帯だよあそこは!」

危険地帯?

って、何のこと?

「じゃあ、図書室には?」

「あそこも危険地帯だよ!」

そうなの?

…危険地帯…。

…スズメバチの巣でもあるんだろうか?

それなら、俺が撤去してあげるのになぁ。
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