神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…人魚姫さんのお弁当を食べ終え。

自分の執務室に帰った私は、はぁ、と溜め息をついた。

…ラブレター、マフラー、お弁当…。

それから…今、セーターを作ってるところなんですよね?

出来上がるのはいつになることか…。

それを持ってきて、またアトラスさんに渡すんでしょうね。

…もやもや。

今のところ、鈍感なアトラスさんは、人魚姫さんの思いに気づいていないようだけど…。

いくらアトラスさんでも、そろそろ気づきそうな気がする。

人魚姫さんが、はっきりと「あなたが好きです」と言えば、さすがに気づくでしょう。

…そのとき、アトラスさんはどうするんだろう?

あぁ、不安が募る…。

いつまでこんな調子なのか、これはいつ解決するのか…。

いつかは、はっきりさせないといけないと分かっている。

でも、そのときは永遠に来なければ良いのに、と思わずにはいられなかった。

アトラスさんが、私と他の女性とを天秤にかけるかと思うと…。

胸が締め付けられるような気がして、酷く心細かった。
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