神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
シュニィには勝らずとも、それなりに整っていたはずの人魚姫の顔が。
今ではすっかりと歪み、眉間に皺を寄せていた。
怖っ。
憎しみに歪む女の顔…怖っ。
しかし。
「その女が…アトラス様の花嫁…ですの?」
「あぁ。シュニィは全世界で最高の妻だぞ!美人で賢くて優しくて、おまけに美人だ!」
美人だけ2回言ったぞ。
「しかも、二人の可愛い子どもまで、俺に授けてくれた。誰にも文句はつけさせない。全世界で最高の妻だな!」
また2回言った。
よっぽど、最高の妻なんだなってことは分かる。
幸せそうで何より。
これには、シュニィも顔を真っ赤にして俯いていた。
「…わたくしが…その女に劣っていると…?」
幸せそうな、アトラスとシュニィのルシェリート夫妻とは裏腹に。
人魚姫は、阿修羅のような形相でシュニィを睨んでいた。
怖っ。
あれがお伽噺のお姫様の顔かよ。
子供達、泣いて逃げるぞ。
「あばばば…。大丈夫かな…」
どろどろとした女の嫉妬を前に、シルナもビビりまくっている。
俺だって怖ぇよ。
しかし、アトラスとシュニィは。
「あ、アトラスさん…。大袈裟ですよ」
「大袈裟なものか。紛れもない事実だろう?堂々と誇ると良い。お前は最高の嫁だ!」
「そ、そんな…」
…イチャつきやがって、お前ら。
人魚姫の前なんだぞ。分かってるか?
こんなノロケを見せられたら、人魚姫じゃなくても溜め息出るわ。
夫婦喧嘩は犬も食わないが、夫婦の惚気話も同じくらいうんざりするな。
やってる当人達は楽しいんだろうけど。
「こんな女に…わたくしが劣るなど…」
ゆらり、と。
人魚姫の影が、おぞましく揺れた。
…ちょ……大丈夫か?
バキッ、と音がした。
何の音かと思ったら、人魚姫の手のひらの中にあった真珠の指輪が、粉々に握り砕かれていた。
…あ…握力だけで潰したのか?指輪だぞ?
一体どんな怪力だ?
ちょ、お前らイチャついてる場合じゃな、
と、思わずツッコミを入れかけたそのとき。
「…そんなこと、絶対に許しませんわ」
人魚姫が、強い殺気を放った。
今ではすっかりと歪み、眉間に皺を寄せていた。
怖っ。
憎しみに歪む女の顔…怖っ。
しかし。
「その女が…アトラス様の花嫁…ですの?」
「あぁ。シュニィは全世界で最高の妻だぞ!美人で賢くて優しくて、おまけに美人だ!」
美人だけ2回言ったぞ。
「しかも、二人の可愛い子どもまで、俺に授けてくれた。誰にも文句はつけさせない。全世界で最高の妻だな!」
また2回言った。
よっぽど、最高の妻なんだなってことは分かる。
幸せそうで何より。
これには、シュニィも顔を真っ赤にして俯いていた。
「…わたくしが…その女に劣っていると…?」
幸せそうな、アトラスとシュニィのルシェリート夫妻とは裏腹に。
人魚姫は、阿修羅のような形相でシュニィを睨んでいた。
怖っ。
あれがお伽噺のお姫様の顔かよ。
子供達、泣いて逃げるぞ。
「あばばば…。大丈夫かな…」
どろどろとした女の嫉妬を前に、シルナもビビりまくっている。
俺だって怖ぇよ。
しかし、アトラスとシュニィは。
「あ、アトラスさん…。大袈裟ですよ」
「大袈裟なものか。紛れもない事実だろう?堂々と誇ると良い。お前は最高の嫁だ!」
「そ、そんな…」
…イチャつきやがって、お前ら。
人魚姫の前なんだぞ。分かってるか?
こんなノロケを見せられたら、人魚姫じゃなくても溜め息出るわ。
夫婦喧嘩は犬も食わないが、夫婦の惚気話も同じくらいうんざりするな。
やってる当人達は楽しいんだろうけど。
「こんな女に…わたくしが劣るなど…」
ゆらり、と。
人魚姫の影が、おぞましく揺れた。
…ちょ……大丈夫か?
バキッ、と音がした。
何の音かと思ったら、人魚姫の手のひらの中にあった真珠の指輪が、粉々に握り砕かれていた。
…あ…握力だけで潰したのか?指輪だぞ?
一体どんな怪力だ?
ちょ、お前らイチャついてる場合じゃな、
と、思わずツッコミを入れかけたそのとき。
「…そんなこと、絶対に許しませんわ」
人魚姫が、強い殺気を放った。