神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「…」
俺達は無言で、お互いの顔を見合わせた。
全員、気づいたはずだ。
…ここはもう、俺達がいた世界じゃない。
まるで別の…それこそ、かつて俺達が経験した、異次元世界ような場所に送られてしまった。
木箱の蓋を開け、ガラスの靴を目にした途端に…。
何かのスイッチがはいったかのように、異空間に転送されてしまったのた。
「…何処だ?ここ…」
「さぁ…。…戻ろうと思っても、戻れないようですね」
と、ナジュが言った。
…そのようだな。
分かるのだ。感じる。
自分達が、この謎の世界に閉じ込められてしまったことを。
今度は、俺達が木箱の中の世界に閉じ込められたらしい。
外から鍵をされている。
本当に…異次元世界みたいだな。
間違いない。俺達はまた…厄介事に巻き込まれてしまったのだ。
「景色だけは…さっきまでと何も変わらないね」
天音は、周囲をきょろきょろ見渡しながら言った。
そうなのだ。
奇妙なことに、周囲の景色は先程までと何も変わらない。
いつもの学院長室なのだ。
場所だけは同じまま、ただ空間だけ移動させられたような…。
そんな奇妙な感覚だ。
ただ唯一、先程までと違うところと言ったら…。
「…あの靴、何処に行った?」
俺達の目の前に置いていたはずの、さっきのガラスの靴。
あれが何処かに消えている。
さっきまで、確かに手元にあったはずなのに。
「…皆、外見て」
「ん?」
令月に言われて、顔をあげる。
令月とすぐりは窓際に立って、窓を開けて外を指差した。
「何もなくなってる」
「…!」
…本当だ。
本来なら、学院長室の窓を開けると。
手前に学院の庭が、その少し向こうに門が。
そして更に向こうには、王都セレーナの町並みが見えていた。
それが、いつも窓の外に見える風景だったのに。
令月の指差す先には、何もなかった。
学院の庭と門までは、かろうじて見える。
しかし、学院の敷地外に見えるはずの町並みは、綺麗さっぱり、真っ白になって消えていた。
令月の言う通り、何もない。
外の景色は何処に消えた?
「…かろうじて、園芸部の畑は見えるねー」
すぐりが、窓の外を見ながら言った。
園芸部の畑は見えるのか。
…ということは、一応学院の敷地内は、この空間に存在しているようだな。
でも、それ以外は。
学院の外は、存在していない。
つまり俺達は、この異次元のイーニシュフェルト魔導学院に、閉じ込められてしまったということだ。
俺達は無言で、お互いの顔を見合わせた。
全員、気づいたはずだ。
…ここはもう、俺達がいた世界じゃない。
まるで別の…それこそ、かつて俺達が経験した、異次元世界ような場所に送られてしまった。
木箱の蓋を開け、ガラスの靴を目にした途端に…。
何かのスイッチがはいったかのように、異空間に転送されてしまったのた。
「…何処だ?ここ…」
「さぁ…。…戻ろうと思っても、戻れないようですね」
と、ナジュが言った。
…そのようだな。
分かるのだ。感じる。
自分達が、この謎の世界に閉じ込められてしまったことを。
今度は、俺達が木箱の中の世界に閉じ込められたらしい。
外から鍵をされている。
本当に…異次元世界みたいだな。
間違いない。俺達はまた…厄介事に巻き込まれてしまったのだ。
「景色だけは…さっきまでと何も変わらないね」
天音は、周囲をきょろきょろ見渡しながら言った。
そうなのだ。
奇妙なことに、周囲の景色は先程までと何も変わらない。
いつもの学院長室なのだ。
場所だけは同じまま、ただ空間だけ移動させられたような…。
そんな奇妙な感覚だ。
ただ唯一、先程までと違うところと言ったら…。
「…あの靴、何処に行った?」
俺達の目の前に置いていたはずの、さっきのガラスの靴。
あれが何処かに消えている。
さっきまで、確かに手元にあったはずなのに。
「…皆、外見て」
「ん?」
令月に言われて、顔をあげる。
令月とすぐりは窓際に立って、窓を開けて外を指差した。
「何もなくなってる」
「…!」
…本当だ。
本来なら、学院長室の窓を開けると。
手前に学院の庭が、その少し向こうに門が。
そして更に向こうには、王都セレーナの町並みが見えていた。
それが、いつも窓の外に見える風景だったのに。
令月の指差す先には、何もなかった。
学院の庭と門までは、かろうじて見える。
しかし、学院の敷地外に見えるはずの町並みは、綺麗さっぱり、真っ白になって消えていた。
令月の言う通り、何もない。
外の景色は何処に消えた?
「…かろうじて、園芸部の畑は見えるねー」
すぐりが、窓の外を見ながら言った。
園芸部の畑は見えるのか。
…ということは、一応学院の敷地内は、この空間に存在しているようだな。
でも、それ以外は。
学院の外は、存在していない。
つまり俺達は、この異次元のイーニシュフェルト魔導学院に、閉じ込められてしまったということだ。