神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
それから俺達は、再びバラバラに分かれて、手分けしてガラスの靴を探した。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎を、徹底的に洗った。
その間俺は、木箱を五つほど見つけた。
木箱を見つける度、俺は飛びつくように蓋を開けてみたものだが。
全部、ぬか喜びだった。
赤いハイヒールだったり、スニーカーだったり、ガラスのサンダルが入ってたり。
ガラスの靴べらが入っていたときには、思わず木箱を投げ捨てそうになった。
靴ですらねーじゃん。ふざけんな。
完全に、シンデレラに馬鹿にされている。
こんな、人をおちょくるシンデレラは嫌だ。
一連の童話シリーズのせいで、俺の中でお伽噺のお姫様に対する評価が爆下がりだ。
他のメンバーが、何とか見つけてくれないかと思ったが。
今のところ、ガラスの靴を見つけたという報告はない。
多分皆、俺と同じように、シンデレラにおちょくられているのだろう。
これじゃあ、シンデレラの思う壺だ。
偽物ならちょくちょく見つかるが、偽物をいくら見つけても、意味がない。
俺達が探しているのは、本物のガラスの靴だ。
なんて難易度の高い宝探しゲームだよ。
本物を見つけられないままに、時間だけがどんどんと過ぎていった。
次第に焦りばかりが募っていく。
迫る制限時間が、頭の中をもたげる。
俺は屋上に上り、隅々まで見渡した。
すると。
校舎内と屋上を繋ぐ扉の影に、隠すように木箱が置かれていた。
また見つけた。
開けてみて、本物であることを確認しなければ安心出来ない、と分かっていても。
それでも、木箱を見つける度に期待してしまう。
これが本物であれば、俺達の命懸けの宝探しはおしまいだ。
俺は木箱を手に取り、祈るような思いで蓋を開けた。
すると、中に入っていたのは。
黄ばんでいない、ちゃと透明なガラスの靴だった。
ヒールが高過ぎることも、低過ぎることもなかった。
右足用じゃなくて、左足用の靴だった。
まるで、本物のガラスの靴だ。
しかし、これが偽物であることは一目瞭然だった。
俺の中に、もう何度目になるか分からない、深い落胆が広がった。
何が問題なのか、って?
サイズだよ。靴のサイズ。
明らかに子供サイズで、こんなのシンデレラの足に入るはずがない。
またおちょくられただけだ。
俺は木箱を放り投げて、一つ溜め息をついた。
…そして。
屋上から、周囲を見渡した。
ずっと、目を背けていたが…。
そろそろ、現実と向き合わない訳にはいかない。
イーニシュフェルト魔導学院の校舎を、徹底的に洗った。
その間俺は、木箱を五つほど見つけた。
木箱を見つける度、俺は飛びつくように蓋を開けてみたものだが。
全部、ぬか喜びだった。
赤いハイヒールだったり、スニーカーだったり、ガラスのサンダルが入ってたり。
ガラスの靴べらが入っていたときには、思わず木箱を投げ捨てそうになった。
靴ですらねーじゃん。ふざけんな。
完全に、シンデレラに馬鹿にされている。
こんな、人をおちょくるシンデレラは嫌だ。
一連の童話シリーズのせいで、俺の中でお伽噺のお姫様に対する評価が爆下がりだ。
他のメンバーが、何とか見つけてくれないかと思ったが。
今のところ、ガラスの靴を見つけたという報告はない。
多分皆、俺と同じように、シンデレラにおちょくられているのだろう。
これじゃあ、シンデレラの思う壺だ。
偽物ならちょくちょく見つかるが、偽物をいくら見つけても、意味がない。
俺達が探しているのは、本物のガラスの靴だ。
なんて難易度の高い宝探しゲームだよ。
本物を見つけられないままに、時間だけがどんどんと過ぎていった。
次第に焦りばかりが募っていく。
迫る制限時間が、頭の中をもたげる。
俺は屋上に上り、隅々まで見渡した。
すると。
校舎内と屋上を繋ぐ扉の影に、隠すように木箱が置かれていた。
また見つけた。
開けてみて、本物であることを確認しなければ安心出来ない、と分かっていても。
それでも、木箱を見つける度に期待してしまう。
これが本物であれば、俺達の命懸けの宝探しはおしまいだ。
俺は木箱を手に取り、祈るような思いで蓋を開けた。
すると、中に入っていたのは。
黄ばんでいない、ちゃと透明なガラスの靴だった。
ヒールが高過ぎることも、低過ぎることもなかった。
右足用じゃなくて、左足用の靴だった。
まるで、本物のガラスの靴だ。
しかし、これが偽物であることは一目瞭然だった。
俺の中に、もう何度目になるか分からない、深い落胆が広がった。
何が問題なのか、って?
サイズだよ。靴のサイズ。
明らかに子供サイズで、こんなのシンデレラの足に入るはずがない。
またおちょくられただけだ。
俺は木箱を放り投げて、一つ溜め息をついた。
…そして。
屋上から、周囲を見渡した。
ずっと、目を背けていたが…。
そろそろ、現実と向き合わない訳にはいかない。