神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
――――――…稽古場の掃除用具入れを点検しに来たら、謎の7本目のホウキが大暴走を始めた。
それはまさに、魔法で動いているかのようで。
一体どんな仕組みなのか、どういう意図があってこちらを襲ってきたのか、疑問は尽きない。
しかし、そんな疑問は全部丸めて後回しだ。
『八千歳』が臨戦態勢を取るのと同時に、僕も懐から小刀を取り出した。
残念ながら今は、愛用の小太刀が手元にない。
別に構わない。
小太刀がないなら、今手元にあるもので応戦するまで。
それに何より、ここには『八千歳』がいる。
それだけで、僕は負ける気がしない。
ただ、気をつけなければならないのは、この場にいるのが僕と『八千歳』の二人だけではない、ということだ。
床に伏せている、園芸部の部長。
彼女を守りながら戦わなくては。
すると。
「…!来る!」
真っ直ぐに、こちらに狙いを定めたホウキが。
弾丸のような速度で、僕めがけて突っ込んできた。
僕は床を滑るようにして身体を倒し、ホウキの体当たりを避けた。
しかし。
攻撃を外したホウキが、ぎゅるんと方向転換。
再び狙いを定め、僕に向かって飛んできた。
僕が体勢を崩したから、追撃すれば当たると思ったんだろうか。
ホウキなのに、そういう考えが働くんだね。
とはいえ、それは浅はかというもの。
体勢を崩したからって、簡単に僕を討ち取れると思わないで欲しい。
「…ふっ…!」
床に倒れたまま、僕は横に一回転して身を滑らせ、二撃目を躱した。
そんな真っ直ぐな攻撃、当たらないよ。
業を煮やした魔法のホウキが、三度目の正直とばかりに突っ込んできたが。
僕は床に手を付き、飛び起きた勢いで、そのまま前に前転。
すんでのところで、攻撃を避けた。
少しも恐ろしくない。
その程度の攻撃、何回やったって当たらない。
むしろ回数を重ねるごとに、ホウキの速度に慣れてきた。
大した速さだけど、でも照準は甘い。
真っ直ぐにしか飛ばないなら、攻撃は予測しやすい。
…それに、何より。
「『八千代』ばっかり狙ってくれてんじゃん。俺もいるって忘れてないよね?」
この場にいるのは、僕だけじゃない。
『八千歳』の糸が、ホウキの柄に絡まった。
それはまさに、魔法で動いているかのようで。
一体どんな仕組みなのか、どういう意図があってこちらを襲ってきたのか、疑問は尽きない。
しかし、そんな疑問は全部丸めて後回しだ。
『八千歳』が臨戦態勢を取るのと同時に、僕も懐から小刀を取り出した。
残念ながら今は、愛用の小太刀が手元にない。
別に構わない。
小太刀がないなら、今手元にあるもので応戦するまで。
それに何より、ここには『八千歳』がいる。
それだけで、僕は負ける気がしない。
ただ、気をつけなければならないのは、この場にいるのが僕と『八千歳』の二人だけではない、ということだ。
床に伏せている、園芸部の部長。
彼女を守りながら戦わなくては。
すると。
「…!来る!」
真っ直ぐに、こちらに狙いを定めたホウキが。
弾丸のような速度で、僕めがけて突っ込んできた。
僕は床を滑るようにして身体を倒し、ホウキの体当たりを避けた。
しかし。
攻撃を外したホウキが、ぎゅるんと方向転換。
再び狙いを定め、僕に向かって飛んできた。
僕が体勢を崩したから、追撃すれば当たると思ったんだろうか。
ホウキなのに、そういう考えが働くんだね。
とはいえ、それは浅はかというもの。
体勢を崩したからって、簡単に僕を討ち取れると思わないで欲しい。
「…ふっ…!」
床に倒れたまま、僕は横に一回転して身を滑らせ、二撃目を躱した。
そんな真っ直ぐな攻撃、当たらないよ。
業を煮やした魔法のホウキが、三度目の正直とばかりに突っ込んできたが。
僕は床に手を付き、飛び起きた勢いで、そのまま前に前転。
すんでのところで、攻撃を避けた。
少しも恐ろしくない。
その程度の攻撃、何回やったって当たらない。
むしろ回数を重ねるごとに、ホウキの速度に慣れてきた。
大した速さだけど、でも照準は甘い。
真っ直ぐにしか飛ばないなら、攻撃は予測しやすい。
…それに、何より。
「『八千代』ばっかり狙ってくれてんじゃん。俺もいるって忘れてないよね?」
この場にいるのは、僕だけじゃない。
『八千歳』の糸が、ホウキの柄に絡まった。