神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
魔法のホウキは、あっという間に『八千歳』の糸に絡め取られ、身動きが取れなくなった。
…呆気ないね。
「やれやれ…。ツキナ、大丈夫?」
「う、うぅ…。いてて…顔ぶつけちゃった…」
「ごめんごめん。きんきゅーじたいだったからさ」
園芸部の部長が、『八千歳』の手を借りて、よろよろと起き上がった。
危なかったね。
『八千歳』が咄嗟に突き飛ばしてなかったら、今頃脳みそぶち撒けてるところだった。
危機一髪、って奴だ。
「しっかし、何だったんだろーね、今の」
と、『八千歳』が腕組みをして言った。
…そうだね。
冷静に考えてみると、結構不思議な出来事が起きたよね、今。
ホウキに襲われた。
これだけ聞くと、頭おかしくなった人みたい。
でも、本当にホウキに襲われたんだよね。
『八千歳』の言う通り。何だったんだろう、今の。
ルーデュニア聖王国では、ホウキが人を襲う事件が起きるんだろうか。面白いね。
それとも、魔導人形と同じく。
あのホウキも、稽古場で使われる道具の一つなんだろうか?
あの速度で襲いかかられたんじゃ、怪我人どころか、死人が出そうだけど。
うん。謎が尽きない。
最近、そういうこと多いよね。
そして、それは大方、童話シリーズと呼ばれる魔法道具の…。
「とりあえず捕獲してみたけど、これ、どーしよ、」
と、『八千歳』が言いかけたそのとき。
「…!?」
『八千歳』の糸に絡め取られたはずのホウキが、またしてもぶるぶると震え出した。
まだ、抵抗をやめないか。
だが、ホウキごときで、『八千歳』の糸の拘束から逃れられるはずが、
「…!ツキナごめん!もっかい伏せて!」
「ひゃっ!」
魔法のホウキは、ぶちぶちぶち、と『八千歳』の糸を引き千切り。
拘束してくれた仕返しとばかりに、『八千歳』に向かって体当りした。
『八千歳』は、園芸部の部長を抱き抱えて、床に伏せてその攻撃を避けた。
まさか。『八千歳』の糸を引き千切るなんて。
強行突破にも程がある。
「ちっ…!調子…乗ってくれてんじゃん!」
『八千歳』の背中から、黒いワイヤーが出現した。
『八千歳』の虎の子だ。
弾丸の速度で突進してきたホウキを、『八千歳』の黒いワイヤーが弾き飛ばし、軌道を逸らした。
だが、ホウキは負けじとばかりに、攻撃を躱しても躱しても、何度でも深追いしてくる。
この諦めの悪さ、尋常じゃない。
…さすがに、少し焦った方が良いかもしれない。
…呆気ないね。
「やれやれ…。ツキナ、大丈夫?」
「う、うぅ…。いてて…顔ぶつけちゃった…」
「ごめんごめん。きんきゅーじたいだったからさ」
園芸部の部長が、『八千歳』の手を借りて、よろよろと起き上がった。
危なかったね。
『八千歳』が咄嗟に突き飛ばしてなかったら、今頃脳みそぶち撒けてるところだった。
危機一髪、って奴だ。
「しっかし、何だったんだろーね、今の」
と、『八千歳』が腕組みをして言った。
…そうだね。
冷静に考えてみると、結構不思議な出来事が起きたよね、今。
ホウキに襲われた。
これだけ聞くと、頭おかしくなった人みたい。
でも、本当にホウキに襲われたんだよね。
『八千歳』の言う通り。何だったんだろう、今の。
ルーデュニア聖王国では、ホウキが人を襲う事件が起きるんだろうか。面白いね。
それとも、魔導人形と同じく。
あのホウキも、稽古場で使われる道具の一つなんだろうか?
あの速度で襲いかかられたんじゃ、怪我人どころか、死人が出そうだけど。
うん。謎が尽きない。
最近、そういうこと多いよね。
そして、それは大方、童話シリーズと呼ばれる魔法道具の…。
「とりあえず捕獲してみたけど、これ、どーしよ、」
と、『八千歳』が言いかけたそのとき。
「…!?」
『八千歳』の糸に絡め取られたはずのホウキが、またしてもぶるぶると震え出した。
まだ、抵抗をやめないか。
だが、ホウキごときで、『八千歳』の糸の拘束から逃れられるはずが、
「…!ツキナごめん!もっかい伏せて!」
「ひゃっ!」
魔法のホウキは、ぶちぶちぶち、と『八千歳』の糸を引き千切り。
拘束してくれた仕返しとばかりに、『八千歳』に向かって体当りした。
『八千歳』は、園芸部の部長を抱き抱えて、床に伏せてその攻撃を避けた。
まさか。『八千歳』の糸を引き千切るなんて。
強行突破にも程がある。
「ちっ…!調子…乗ってくれてんじゃん!」
『八千歳』の背中から、黒いワイヤーが出現した。
『八千歳』の虎の子だ。
弾丸の速度で突進してきたホウキを、『八千歳』の黒いワイヤーが弾き飛ばし、軌道を逸らした。
だが、ホウキは負けじとばかりに、攻撃を躱しても躱しても、何度でも深追いしてくる。
この諦めの悪さ、尋常じゃない。
…さすがに、少し焦った方が良いかもしれない。