神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
攻撃を躱すだけなら、いくらでも避け続けられる。

僕でも、『八千歳』でも。

しかし、園芸部の部長は別だ。

彼女が狙われたら、ひとたまりもない。

人を守りながら、弾丸のような攻撃を避け続けるのは…さすがに苦しい。

今は何とかなってるけど、長くは持たないだろう。

早いところ決着をつけた方が良さそうだ。

もう、捕獲は考えないで良いね。

生死は問わない。

ホウキに生死があるのかは、甚だ疑問だけど。

「…『八千歳』!」

「任せて!」

園芸部の部長を、床に伏せさせ。

『八千歳』は即座に起き上がって、ホウキの襲撃に備える。

そのまま、『八千歳』は弾丸のように突っ込んでくるホウキの、真正面に立った。

大きな的を見つけた、とばかりに突撃するホウキ。

しかし、魔法のホウキは『八千歳』を貫くことは出来なかった。

弾丸の速度で飛んできたホウキを、『八千歳』は両手で受け止めた。

「白刃取りっ!!」

格好良い。

それ、僕もやりたかった。

けど、僕の役目はそれじゃない。

『八千歳』が、飛んできたホウキを白刃取りで止めた、その僅かな隙に。

僕の小刀が、ホウキを一刀両断した。

真っ二つに両断されたホウキが、今度こそ、力尽きたように床に落ちた。
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