神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…音がした方に目をやると。
窓がガラガラと開いて、しゅたっ、と窓枠に何者かが足をかけた。
…まぁ、何者かなんて聞かなくても分かるが。
鍵のかかった窓を開け、無断で侵入してくる人間は、このイーニシュフェルト魔導学院に二人しかいない。
そして侵入者は、案の定、その二人のうちの一人だった。
「令月…お前…」
「来たよ」
来たよ、じゃないんだよ。
来るなよ。
来ても良いけど、ちゃんとドアから入ってこい。窓から入ってくるな。
何度も言ってるのに、ちっとも聞く耳を持たない。
そして、もう下校時刻は過ぎてるからな。
来るなら、下校時刻になる前に来い。
何でここにいるんだ。学生寮に帰れ。
全く、他の生徒に示しがつかん。
「あのな、お前ら。いい加減夜間外出を…。…って言うかすぐりの奴は何処だよ?」
大抵、令月とすぐりはセットで行動しているのだが。
侵入してきたのは、令月の一人だけだ。
お前、相棒は何処だ?一人で来たのか。
珍しいことがあるもんだ。
…最初の頃は、一緒にいるときの方が珍しかったんだけどな。
今の令月とすぐりが、あれほど仲良くなっているなんて…。あのときの二人に話しても、信じなかったろうな。
それが今や、二人が唯一無二の愛棒になって、大変嬉しいことだが…。
…感慨に耽っている場合ではなかった。
「うん。そのことについて話そうと思って、急いで来たんだよ」
「?何?」
「『八千歳』は今、ホウキと戦ってる」
「…」
「ホウキを捕獲したんだ。人手が必要だから、ちょっと来てくれる?」
…俺も、シルナも、天音も、ポカーン顔。
シルナなんて、あまりに驚き過ぎて、チョコロールケーキの皿を落っことしていた。
あーあ、勿体ない…。
明日の朝ご飯は、別のものになりそうだな。
令月の心を読んで、瞬時に状況を把握したナジュと。
そして、大抵のことでは驚かないイレースだけが平然としていた。
全く、この二人の肝の太さと来たら。見習わせてもらいたいものだ。
…令月の奴、今何て言った?
すぐりが、ホウキと戦って…ホウキを捕獲してる?
…ホウキ?
俺の…聞き間違いじゃない、よな?
窓がガラガラと開いて、しゅたっ、と窓枠に何者かが足をかけた。
…まぁ、何者かなんて聞かなくても分かるが。
鍵のかかった窓を開け、無断で侵入してくる人間は、このイーニシュフェルト魔導学院に二人しかいない。
そして侵入者は、案の定、その二人のうちの一人だった。
「令月…お前…」
「来たよ」
来たよ、じゃないんだよ。
来るなよ。
来ても良いけど、ちゃんとドアから入ってこい。窓から入ってくるな。
何度も言ってるのに、ちっとも聞く耳を持たない。
そして、もう下校時刻は過ぎてるからな。
来るなら、下校時刻になる前に来い。
何でここにいるんだ。学生寮に帰れ。
全く、他の生徒に示しがつかん。
「あのな、お前ら。いい加減夜間外出を…。…って言うかすぐりの奴は何処だよ?」
大抵、令月とすぐりはセットで行動しているのだが。
侵入してきたのは、令月の一人だけだ。
お前、相棒は何処だ?一人で来たのか。
珍しいことがあるもんだ。
…最初の頃は、一緒にいるときの方が珍しかったんだけどな。
今の令月とすぐりが、あれほど仲良くなっているなんて…。あのときの二人に話しても、信じなかったろうな。
それが今や、二人が唯一無二の愛棒になって、大変嬉しいことだが…。
…感慨に耽っている場合ではなかった。
「うん。そのことについて話そうと思って、急いで来たんだよ」
「?何?」
「『八千歳』は今、ホウキと戦ってる」
「…」
「ホウキを捕獲したんだ。人手が必要だから、ちょっと来てくれる?」
…俺も、シルナも、天音も、ポカーン顔。
シルナなんて、あまりに驚き過ぎて、チョコロールケーキの皿を落っことしていた。
あーあ、勿体ない…。
明日の朝ご飯は、別のものになりそうだな。
令月の心を読んで、瞬時に状況を把握したナジュと。
そして、大抵のことでは驚かないイレースだけが平然としていた。
全く、この二人の肝の太さと来たら。見習わせてもらいたいものだ。
…令月の奴、今何て言った?
すぐりが、ホウキと戦って…ホウキを捕獲してる?
…ホウキ?
俺の…聞き間違いじゃない、よな?