神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…と、思ったが。

対策と言ったって、契約の条件も分からないのに、対策のしようもない。

よって。

「あ、また動き出した」

「またですか?つい三時間前に、すぐりさんの毒ぶぇ」

「ナジュ君ーっ!しっかりして!」

「何だかこのホウキ、不死身先生のこと嫌いなのかな」

「動き出す度に、ナジュせんせーを串刺しにしてるよねー」

「お前ら!止めるから手伝え!」

「あわわわわわ…ナジュ君大丈夫…!?」

…みたいな。

それはもう、コントみたいなやり取りを繰り広げていた。

で、そんな俺達を見て、イレースは。

「…では、私は失礼しますよ」

我関せずとばかりに、さっさと退室。

お前は世渡り上手だよ。俺もそうなりたいもんだ。

見るからに面倒なことには、関わらないのが一番だからな。

…薄情だな、と思わなくはないけど。

まぁ、そこはイレースだからな…。

「はぁ…。やっと大人しくなった…」

「でも、また三時間後には動き出すんだよね」

そうだった。

どんなにへし折ろうと、へし折ろうと、復活しやがる。

ナジュかよ。

…あ、そうだ。ナジュは無事か。

「ナジュ、大丈夫か?」

「大丈夫です。ばっちり腸活中です」

元気そうだな。

気持ち悪いから、そのはみ出した内臓をしまえ。

「くそ…。『眠れる森の魔女』め…」

一体どうしたら良いんだ、この魔法道具を。

何とか契約出来ないものかと、あれこれ方法を考えてみたが。

三時間おきに復活しては、ナジュの土手っ腹を貫き、暴走する『眠れる森の魔女』を前に。

俺達はそろそろ…精神的な限界を迎えつつあった。

「やっぱり、契約するより、破壊する方法を考えた方が良いんじゃないか?」

すぐりの毒で、紫色に朽ちているホウキを横目に。

俺は、シルナ達にそう提案した。
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