神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…外の景色に負けないくらい、気色悪い猫だった。
毛並みが赤とピンクなんですが。あれは雑種ですか?
…それとも…『不思議の国のアリス』に登場するというキャラクター。
名前は確か…チェシャ猫?
あんなに気持ち悪い生き物だったのか。チェシャ猫。
そのふざけたにやけ面は、シルナ学院長と良い勝負。
思わず殴りかかりたくなったけれど、今はそんなことをしている暇がない。
…と言うかこの猫、今。
私のこと、嘲笑いませんでした?
…やっぱり殴ろうかしら。
それくらいの時間の余裕は、あるような気がしてきた。
「…高みの見物は面白いですか?」
私は、チェシャ猫に向かってそう尋ねた。
返事を期待している訳ではない。
たかが猫に、人語が喋れるとは思っていない。
だからこれは、単なる私の独り言のようなもの。
「…誰か一人でも、招待状を見つけられずに泣き寝入りする者がいると思ってるなら、おめでたいですね」
嘲笑う相手を間違えたようですね。
こんな下らない魔法道具の作り出した、仮初めの世界など。
我々を足止めする、何物にもならないのだということを…教えてあげますよ。
にやにやとこちらを見つめるチェシャ猫に、くるりと背を向け。
私は、再び探しものに戻った。
…気がつくと、チェシャ猫の姿は何処かに消えていた。
悔し紛れに逃げ出したのでしょうか。それとも、私に無視されたことが気に入らなかったのか。
どちらでも構いませんね。
毛並みが赤とピンクなんですが。あれは雑種ですか?
…それとも…『不思議の国のアリス』に登場するというキャラクター。
名前は確か…チェシャ猫?
あんなに気持ち悪い生き物だったのか。チェシャ猫。
そのふざけたにやけ面は、シルナ学院長と良い勝負。
思わず殴りかかりたくなったけれど、今はそんなことをしている暇がない。
…と言うかこの猫、今。
私のこと、嘲笑いませんでした?
…やっぱり殴ろうかしら。
それくらいの時間の余裕は、あるような気がしてきた。
「…高みの見物は面白いですか?」
私は、チェシャ猫に向かってそう尋ねた。
返事を期待している訳ではない。
たかが猫に、人語が喋れるとは思っていない。
だからこれは、単なる私の独り言のようなもの。
「…誰か一人でも、招待状を見つけられずに泣き寝入りする者がいると思ってるなら、おめでたいですね」
嘲笑う相手を間違えたようですね。
こんな下らない魔法道具の作り出した、仮初めの世界など。
我々を足止めする、何物にもならないのだということを…教えてあげますよ。
にやにやとこちらを見つめるチェシャ猫に、くるりと背を向け。
私は、再び探しものに戻った。
…気がつくと、チェシャ猫の姿は何処かに消えていた。
悔し紛れに逃げ出したのでしょうか。それとも、私に無視されたことが気に入らなかったのか。
どちらでも構いませんね。