神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
しかし。
「あぁ、どうしましょう、どうしましょう」
ハートの女王は、頭を抱え、大袈裟な仕草で衣装部屋の中を右往左往するばかり。
…私に気づいていないかのようだ。
「あぁ、困った、困った…。どうしましょう」
…と、同じことを繰り返すばかり。
誘い受けのような気がしてきたので、敢えて無視して良いでしょうか。
絶対に、「何に困ってるの?」と聞いて欲しくて言ってるんでしょうね。
すると。
「…あぁ、あなた!丁度良かったです」
ようやくハートの女王は、私の存在に気がついた。
…どうしてこんなところに!とか。
あなたは何者!?とかいう反応はナシですか。
普通に話しかけてくるんですね。そうですか。
衣装部屋に、勝手に侵入されていたことはスルー?
それで良いんですか。随分いい加減な女王だ。
まるでパンダ学院長のよう。
「お願い、お願いです。私を助けてくれませんか?」
「…!」
…助けて…。
もしかして、先程の「help me」のメモは…これのことを言っていたのだろうか。
ハートの女王を助けろ、と?
私は今、酷く忙しいのだ。
ハートの女王だろうが何だろうが、人を助けている余裕はない…が。
助けろという指示が、このハートの女王のことを指し。
そして、指示に従ってハートの女王を助けることが、招待状を見つけるヒントになるのなら。
私に、拒否するという選択肢はなかった。
…ちっ。
はい、本日三回目。
仕方がない。従ってあげましょう。
でも、その前に。
「助けるって、何をすれば良いんですか?」
安請け合いして、無理難題を押し付けられたら困る。
何をすれば良いのか、先に聞いておこう。
…すると。
「私の相談相手になって欲しいんです」
ハートの女王は、みっともない半べそ顔で頼んできた。
…相談相手…?
それだけなら…悪くない、か?
本当に、相談だけで済ませられるなら、の話だけど。
…よし、それなら。
こういうことは、先にはっきりさせておきましょう。
後で、言った言わないの水掛け論になったら困りますから。
「相談相手になるのは構いませんが、あなたを助けるなら、あなたも私を助けて頂きたいですね」
女王相手になんと強気な、と思われるかもしれないが。
知ったことじゃありませんから。
「私があなたを助け、あなたも私を助ける。これでお互い、対等な条件になるでしょう」
「あなたを助ける…?どうやって?」
「私は今、招待状を探しています。アリスのお茶会に参加する為の招待状を」
と、私はハートの女王に説明した。
「その招待状を探す手伝いをしてくれるなら、私はあなたの相談相手になりましょう」
「…あなた、アリスのお茶会に参加したいんですか?」
参加したい訳じゃない。
参加しなければならないだけだ。
「それなら、私の方からアリスに頼んで、あなたの為に招待状を書いてもらいましょう」
ハートの女王は、名案とばかりにそう言った。
…ここに来て、女王の権力が牙を剥く。
「あぁ、どうしましょう、どうしましょう」
ハートの女王は、頭を抱え、大袈裟な仕草で衣装部屋の中を右往左往するばかり。
…私に気づいていないかのようだ。
「あぁ、困った、困った…。どうしましょう」
…と、同じことを繰り返すばかり。
誘い受けのような気がしてきたので、敢えて無視して良いでしょうか。
絶対に、「何に困ってるの?」と聞いて欲しくて言ってるんでしょうね。
すると。
「…あぁ、あなた!丁度良かったです」
ようやくハートの女王は、私の存在に気がついた。
…どうしてこんなところに!とか。
あなたは何者!?とかいう反応はナシですか。
普通に話しかけてくるんですね。そうですか。
衣装部屋に、勝手に侵入されていたことはスルー?
それで良いんですか。随分いい加減な女王だ。
まるでパンダ学院長のよう。
「お願い、お願いです。私を助けてくれませんか?」
「…!」
…助けて…。
もしかして、先程の「help me」のメモは…これのことを言っていたのだろうか。
ハートの女王を助けろ、と?
私は今、酷く忙しいのだ。
ハートの女王だろうが何だろうが、人を助けている余裕はない…が。
助けろという指示が、このハートの女王のことを指し。
そして、指示に従ってハートの女王を助けることが、招待状を見つけるヒントになるのなら。
私に、拒否するという選択肢はなかった。
…ちっ。
はい、本日三回目。
仕方がない。従ってあげましょう。
でも、その前に。
「助けるって、何をすれば良いんですか?」
安請け合いして、無理難題を押し付けられたら困る。
何をすれば良いのか、先に聞いておこう。
…すると。
「私の相談相手になって欲しいんです」
ハートの女王は、みっともない半べそ顔で頼んできた。
…相談相手…?
それだけなら…悪くない、か?
本当に、相談だけで済ませられるなら、の話だけど。
…よし、それなら。
こういうことは、先にはっきりさせておきましょう。
後で、言った言わないの水掛け論になったら困りますから。
「相談相手になるのは構いませんが、あなたを助けるなら、あなたも私を助けて頂きたいですね」
女王相手になんと強気な、と思われるかもしれないが。
知ったことじゃありませんから。
「私があなたを助け、あなたも私を助ける。これでお互い、対等な条件になるでしょう」
「あなたを助ける…?どうやって?」
「私は今、招待状を探しています。アリスのお茶会に参加する為の招待状を」
と、私はハートの女王に説明した。
「その招待状を探す手伝いをしてくれるなら、私はあなたの相談相手になりましょう」
「…あなた、アリスのお茶会に参加したいんですか?」
参加したい訳じゃない。
参加しなければならないだけだ。
「それなら、私の方からアリスに頼んで、あなたの為に招待状を書いてもらいましょう」
ハートの女王は、名案とばかりにそう言った。
…ここに来て、女王の権力が牙を剥く。