神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
―――――――…ハンプティ・ダンプティに案内され。

皆と別れ、青い光に包まれて…。

僕が辿り着いたのは、トランプの3の世界。

「三月ウサギの世界」だ。






…目を覚ますと、僕は地面の上に直接、仰向けに転がっていて。

僕の視界には、見渡す限りの一面ピンク色の空が広がっていた。

「…うわっ…」

…びっくりした。

ピンク色の空なんて、初めて見た。何だか不気味…。

…いや、それよりも。

「…僕、招待状を…探しに…」

アリスのお茶会に参加する為に、招待状…探しに来たんだよね。

確か…ハンプティ・ダンプティに言われたのは。

「書いてあることには従え」…だった、よね?

ヒントにもならないヒントだけど…。

「…ん?」

ピンク色の空に、黄色の雲がもくもくと、不思議な形をしていることに気がついた。

…ピンク色の空っていうのも大概だけど、黄色い雲も…なかなかびっくりするよね。

しかもあの雲…何だか不思議な形…。

…あれ?

僕はそのとき、雲が文字の形をしていることに気がついた。

何かを伝えてきている…。雲が、僕に…。

雲の文字を、左から順に読むと…。

「forgive me」…?

直訳すると…「私を許して」?

…もしかして、書いてあることに従えって…これのこと?

…意外とすぐにヒントをくれるんだね。

何だか、何とかなりそうな気がしてきた。

でも…分からない。

「私を許してって…。一体どういう意味…?」

許してあげられるものなら、いくらでも許してあげたいけど。

でも、誰を許すかも分からないのに…いきなり言われてもこま、

「…大丈夫ですか!?」

「…えっ?」

…突如として。

原っぱに寝そべっていた僕の顔を、一匹の…ウサギが覗き込んだ。


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