神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
それから僕は、白ウサギさん達と行動を共にした。

周囲を人型ウサギさんに囲まれて、最初は居心地が悪かったものだが。

話してみれば、普通の人間と何ら変わりなかった。

ただ、見た目がウサギなだけで。

それに、他のウサギさん達も…僕を色眼鏡で見ることなく、普通に接してくれた。

『殺戮の堕天使』について確かめたいことがあるのだ、という僕の目標に同情するように頷いてくれた。

温かく迎えてもらえて、有り難かった。

…けれど。

白ウサギさん達とどうこうするようになって、分かったことだけれど。

ウサギさん達を取り巻く状況は、僕の予想以上に苛烈なものだった。






「…また…ここも…」

…白ウサギさんに同行するようになって…これで、何件目になるだろう。

小さな村一帯に、吐き気を催しそうな血の匂いが充満していた。







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