神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…この人が、『殺戮の堕天使』…。
…いや、人ではなかった。
ウサギさんだった。
イケメンカリスマ教師を自称するナジュ君とは、似ても似つかない黒ウサギ。
このウサギさんって…もしかして…この世界を作っている…。
「今日こそ、お前を成敗してやる!」
「死んでいった者の無念を思い知れ!」
灰色ウサギさん達が叫んでも、『殺戮の堕天使』は何も答えない。
…それどころか。
挑発するように、指で手招きした。
怪しいことこの上ない仕草に、僕は思わず警戒を強めたが。
ウサギさん達は、馬鹿にされていると思ったのだろう。
「っ…!そのしたり顔も、これまでだ!」
『殺戮の堕天使』の狙い通り、ウサギさん達は武器を手に、真っ直ぐ突っ込んでいった。
「まっ…、ちょっと待って…!」
止める暇もなかった。
次々と、原っぱに突っ込んでいくウサギさん達は。
しかし、『殺戮の堕天使』のもとに辿り着くことは出来なかった。
先頭の灰色ウサギさんが、『殺戮の堕天使』に迫ったとき。
ウサギさん達の足元が、がらがらと崩れた。
…!?
「うわぁぁぁ!?」
「な、何だ!?」
…落とし穴だ、と思った。
案の定、『殺戮の堕天使』は罠を仕掛け、ウサギさん達をこの罠に誘導したのだ。
頭に血が上っていたウサギさん達は、まんまと誘き出され、まんまと罠に嵌ってしまった。
この落とし穴に。
…しかも、これはただの落とし穴ではなかった。
「…っ!!」
…落とし穴の中には、先の尖った槍が、何本も連なっていた。
その槍が、落とし穴に落ちたウサギさん達の、柔らかな身体を串刺しにしていた。
「わ、罠だ!下がれ、さが…うわぁぁ!」
「助け…助けてくれぇぇ!」
原っぱは、あっという間に阿鼻叫喚の様相を呈していた。
罠だと気づいても、引き返すことは出来なかった。
勢い良く飛び出したウサギさん達は、為す術もなく、落とし穴に吸い込まれていった。
崩れた地面がウサギさん達を呑み込み、その下で待ち受ける槍が、ぐさぐさとウサギさんを串刺しにした。
辺りに立ち込める悲鳴と、血の匂い。
地獄のような光景が広がっているというのに。
『殺戮の堕天使』は満足そうに、落とし穴を見下ろしていた。
自分の仕掛けた罠に、まんまとウサギさん達が嵌ったことが嬉しいのだろう。
…。
ウサギさん達は、皆落とし穴に落ち。
生き残っているのは、ただ一人飛び出さなかった、僕だけだった。
…あっという間に一人ぼっちになったね。
…また。
…いや、人ではなかった。
ウサギさんだった。
イケメンカリスマ教師を自称するナジュ君とは、似ても似つかない黒ウサギ。
このウサギさんって…もしかして…この世界を作っている…。
「今日こそ、お前を成敗してやる!」
「死んでいった者の無念を思い知れ!」
灰色ウサギさん達が叫んでも、『殺戮の堕天使』は何も答えない。
…それどころか。
挑発するように、指で手招きした。
怪しいことこの上ない仕草に、僕は思わず警戒を強めたが。
ウサギさん達は、馬鹿にされていると思ったのだろう。
「っ…!そのしたり顔も、これまでだ!」
『殺戮の堕天使』の狙い通り、ウサギさん達は武器を手に、真っ直ぐ突っ込んでいった。
「まっ…、ちょっと待って…!」
止める暇もなかった。
次々と、原っぱに突っ込んでいくウサギさん達は。
しかし、『殺戮の堕天使』のもとに辿り着くことは出来なかった。
先頭の灰色ウサギさんが、『殺戮の堕天使』に迫ったとき。
ウサギさん達の足元が、がらがらと崩れた。
…!?
「うわぁぁぁ!?」
「な、何だ!?」
…落とし穴だ、と思った。
案の定、『殺戮の堕天使』は罠を仕掛け、ウサギさん達をこの罠に誘導したのだ。
頭に血が上っていたウサギさん達は、まんまと誘き出され、まんまと罠に嵌ってしまった。
この落とし穴に。
…しかも、これはただの落とし穴ではなかった。
「…っ!!」
…落とし穴の中には、先の尖った槍が、何本も連なっていた。
その槍が、落とし穴に落ちたウサギさん達の、柔らかな身体を串刺しにしていた。
「わ、罠だ!下がれ、さが…うわぁぁ!」
「助け…助けてくれぇぇ!」
原っぱは、あっという間に阿鼻叫喚の様相を呈していた。
罠だと気づいても、引き返すことは出来なかった。
勢い良く飛び出したウサギさん達は、為す術もなく、落とし穴に吸い込まれていった。
崩れた地面がウサギさん達を呑み込み、その下で待ち受ける槍が、ぐさぐさとウサギさんを串刺しにした。
辺りに立ち込める悲鳴と、血の匂い。
地獄のような光景が広がっているというのに。
『殺戮の堕天使』は満足そうに、落とし穴を見下ろしていた。
自分の仕掛けた罠に、まんまとウサギさん達が嵌ったことが嬉しいのだろう。
…。
ウサギさん達は、皆落とし穴に落ち。
生き残っているのは、ただ一人飛び出さなかった、僕だけだった。
…あっという間に一人ぼっちになったね。
…また。