神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
すると、何を思ったか。
「よっと」
『八千歳』が、窓枠代わりの細いスティックチョコを、ポキッと折った。
これまた、簡単に折れるんだね。
「もぐもぐ」
スティックチョコを、ポキポキ音を立てて頬張る『八千歳』。
「どう?味…」
「凄い。りんごの味がするよ、これ」
と、『八千歳』が教えてくれた。
なんと。
「チョコじゃないの?」
「うん、りんごの味だ」
「…」
…もしかして。
僕は、ペンキ代わりに外壁に塗られた、白い生クリームを指ですくって、舐めてみた。
すると、あら不思議。
生クリームではなくて、カステラの味がした。
こんな味の生クリームが存在するなんて。
「ルーデュニア聖王国には、こういう珍妙なお菓子があるの?それとも…おとぎ話の不思議な力で、こんな変な味に変わってるの?」
「さぁねー。どっちでもおかしくないね」
僕達、あんまりお菓子には詳しくないもんね。
最近になって、よく学院長に食べさせてもらってるから、これでも分かるようになってきたけど。
ほんの少し前まで、甘いものはおろか、物を食べることもほとんどなかったから。
元々こういう食べ物なのか、それともこの世界に限った話なのか、分からないや。
しかし、お菓子の家というのは…あまり現実感がない。
これは、やはりおとぎ話の世界にのみ存在するのでは?
「…まーいーや。家を摘み食いしてる場合じゃない」
と、『八千歳』は食べかけのスティックチョコを、窓枠に戻した。
そうだね。
僕も、カステラ味の生クリームがついた指を拭った。
「この家に入っていったよね?あのウサギ」
「うん。そう見えたね」
「じゃ、あいつを捕まえて串焼きにしよう。そーしたら、何か分かるでしょ、多分」
僕も同意見だよ。
僕と『八千歳』は、再び臨戦態勢を取り。
白ウサギを追って、勢いよく板チョコの扉を開けた。
「よっと」
『八千歳』が、窓枠代わりの細いスティックチョコを、ポキッと折った。
これまた、簡単に折れるんだね。
「もぐもぐ」
スティックチョコを、ポキポキ音を立てて頬張る『八千歳』。
「どう?味…」
「凄い。りんごの味がするよ、これ」
と、『八千歳』が教えてくれた。
なんと。
「チョコじゃないの?」
「うん、りんごの味だ」
「…」
…もしかして。
僕は、ペンキ代わりに外壁に塗られた、白い生クリームを指ですくって、舐めてみた。
すると、あら不思議。
生クリームではなくて、カステラの味がした。
こんな味の生クリームが存在するなんて。
「ルーデュニア聖王国には、こういう珍妙なお菓子があるの?それとも…おとぎ話の不思議な力で、こんな変な味に変わってるの?」
「さぁねー。どっちでもおかしくないね」
僕達、あんまりお菓子には詳しくないもんね。
最近になって、よく学院長に食べさせてもらってるから、これでも分かるようになってきたけど。
ほんの少し前まで、甘いものはおろか、物を食べることもほとんどなかったから。
元々こういう食べ物なのか、それともこの世界に限った話なのか、分からないや。
しかし、お菓子の家というのは…あまり現実感がない。
これは、やはりおとぎ話の世界にのみ存在するのでは?
「…まーいーや。家を摘み食いしてる場合じゃない」
と、『八千歳』は食べかけのスティックチョコを、窓枠に戻した。
そうだね。
僕も、カステラ味の生クリームがついた指を拭った。
「この家に入っていったよね?あのウサギ」
「うん。そう見えたね」
「じゃ、あいつを捕まえて串焼きにしよう。そーしたら、何か分かるでしょ、多分」
僕も同意見だよ。
僕と『八千歳』は、再び臨戦態勢を取り。
白ウサギを追って、勢いよく板チョコの扉を開けた。