神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
酷く息が荒く、肩で息をしているナジュは。
アリスを圧倒しながらも、誰より自分が満身創痍の状態に見えた。
口から血を垂らし、ところどころ身体の皮膚が破れて、血が滲んでいた。
…ナジュ、お前…!
「だ、大丈夫か…!?」
どう見ても大丈夫ではないが、俺は思わずそう尋ねていた。
しかし、ナジュは答えることもなく、こちらを振り向くこともしなかった。
…眼中にない、と言わんばかりに。
「不死身先生、止めた方が良い?」
「なんか、見るからにあぶなそーだよね」
令月とすぐりの二人も、ナジュを見つめてそう言った。
しかし。
「止めようとして、止まるものなのですか?下手をしたら返り討ちですよ」
「…有り得るな」
俺は、イレースの意見に頷いた。
恐らく今のナジュは、ほとんど意識を失っている。
「前の」俺と同様…理性ではなく、本能で動いているのだ。
俺達の声が届くとは思えない。
それに…無理矢理止めようにも、あんな鬼神状態のナジュを止めるのは命懸けだ。
イレースの言う通り、こちらが返り討ちに遭いかねない。
でも…だからって、このまま放置しておく訳には…。
「…っ!羽久危ない!」
「うわっ」
シルナに突き飛ばされて、俺は地面に伏せた。
ついさっき俺が立っていたところに、吹き飛ばされたティースプーンの柄が突き刺さっていた。
…あぶねぇ。
ナジュを止めるどころか、とばっちりでお陀仏しないだけで精一杯だ。
手をこまねいているうちに、アリスとナジュの戦いは佳境を迎えていた。
地面に倒れたアリスの金髪を、ナジュは獣のような腕で鷲掴みにし。
ぐるんぐるんと振り回して、空高くぶん投げた。
あの巨体をぶん投げるなんて、どんな腕力してるんだ。
空中に飛び上がって、ぶん投げたアリスに追いつくと。
アリスの身体を力任せに蹴り、殴り、歪な音がお茶会の会場に響き渡った。
俺達はその様子を、地面からハラハラしながら見ていることしか出来ない。
…やがて。
とどめとばかりに、両手の拳を合わせたナジュが、アリスの腹部を渾身の力で殴りつけた。
凄まじい勢いで、アリスの巨体が地面にめり込み。
そして…そのまま動かなくなった。
アリスを圧倒しながらも、誰より自分が満身創痍の状態に見えた。
口から血を垂らし、ところどころ身体の皮膚が破れて、血が滲んでいた。
…ナジュ、お前…!
「だ、大丈夫か…!?」
どう見ても大丈夫ではないが、俺は思わずそう尋ねていた。
しかし、ナジュは答えることもなく、こちらを振り向くこともしなかった。
…眼中にない、と言わんばかりに。
「不死身先生、止めた方が良い?」
「なんか、見るからにあぶなそーだよね」
令月とすぐりの二人も、ナジュを見つめてそう言った。
しかし。
「止めようとして、止まるものなのですか?下手をしたら返り討ちですよ」
「…有り得るな」
俺は、イレースの意見に頷いた。
恐らく今のナジュは、ほとんど意識を失っている。
「前の」俺と同様…理性ではなく、本能で動いているのだ。
俺達の声が届くとは思えない。
それに…無理矢理止めようにも、あんな鬼神状態のナジュを止めるのは命懸けだ。
イレースの言う通り、こちらが返り討ちに遭いかねない。
でも…だからって、このまま放置しておく訳には…。
「…っ!羽久危ない!」
「うわっ」
シルナに突き飛ばされて、俺は地面に伏せた。
ついさっき俺が立っていたところに、吹き飛ばされたティースプーンの柄が突き刺さっていた。
…あぶねぇ。
ナジュを止めるどころか、とばっちりでお陀仏しないだけで精一杯だ。
手をこまねいているうちに、アリスとナジュの戦いは佳境を迎えていた。
地面に倒れたアリスの金髪を、ナジュは獣のような腕で鷲掴みにし。
ぐるんぐるんと振り回して、空高くぶん投げた。
あの巨体をぶん投げるなんて、どんな腕力してるんだ。
空中に飛び上がって、ぶん投げたアリスに追いつくと。
アリスの身体を力任せに蹴り、殴り、歪な音がお茶会の会場に響き渡った。
俺達はその様子を、地面からハラハラしながら見ていることしか出来ない。
…やがて。
とどめとばかりに、両手の拳を合わせたナジュが、アリスの腹部を渾身の力で殴りつけた。
凄まじい勢いで、アリスの巨体が地面にめり込み。
そして…そのまま動かなくなった。