神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
さっきのあれは、本当に諸刃の剣だったのだ。
リリスの力を引き出すことで、ナジュは一時的に…『冥界の女王』の力を扱える。
しかし、人の身で魔物の力を使うという荒業には、大きな代償が伴う。
それが、今目の前で苦しんでいるナジュの姿だ。
無理矢理人の身体で魔物の力を使ったが故に、使用後に凄まじい「反動」、「副作用」をもたらす。
あまりに強大な魔力に、耐えられなくなった心臓が破裂し、血管が破れ、身体中あちこちから出血する。
当然、耐えられなくなった身体は限界を迎え、死ぬ。
…これが普通の人間なら、とっくに死んでる。
でも、ナジュが死んでいないのは…彼が融合した魔物が、他でもない『冥界の女王』だからだ。
不死身の肉体を持つリリスと融合したからこそ、ナジュは普通の人間なら死んでいる事態になっても、死んでいない。
不死身であるからこそ出来る…ナジュだけの秘密兵器。
そして、諸刃の剣。
ナジュは死なないけど、確かに死なないけど…。
でも、死ぬほど痛い思いはするのだ。
現に、今も。
再生した傍から内臓が破裂し、また再生して、また破裂して…を繰り返している。
それが地獄の苦しみであることは、想像に難くない。
そして、「反動」が収まって安定するまで、それが延々とひたすら続くのだ。
…そうなることを分かっていて、お前は。
…そこまでして…。
「何で…君はいつも、そんな無茶を…!」
天音は、自分の怪我を押してナジュに回復魔法をかけた。
しかし…いくら回復魔法をかけても、そう簡単に「反動」は収まらなかった。
「大丈夫…ですよ。いずれ…放っておいたら、勝手に…治る…」
「治るからって、無茶して良い訳ないでしょ!」
…全くだ。
一体、何度お前に同じことを言ったか。
不死身だからって、考えなしに特攻を仕掛けて良い訳じゃないんだぞ。
…でも。
その無茶のお陰で、今回は助かった。
向こう見ずに突撃する悪癖は、断じて許容出来ないが。
今回はそれに助けられたのだから、その点については、素直に感謝する。
「…お前のお陰で助かった。けど…もう、二度とやるなよ」
もう二度と…ナジュにあんなことはさせない。
『不思議の国のアリス』はもう終わったのだ。これで、ナジュが無理する必要は…。
…と、思ったそのときだった。
「…!誰だ?」
また魔法道具の一つを攻略し、凱旋したばかりの俺達を、待っていたかのように。
突如として、とんでもない人物が…俺達の目の前に現れた。
リリスの力を引き出すことで、ナジュは一時的に…『冥界の女王』の力を扱える。
しかし、人の身で魔物の力を使うという荒業には、大きな代償が伴う。
それが、今目の前で苦しんでいるナジュの姿だ。
無理矢理人の身体で魔物の力を使ったが故に、使用後に凄まじい「反動」、「副作用」をもたらす。
あまりに強大な魔力に、耐えられなくなった心臓が破裂し、血管が破れ、身体中あちこちから出血する。
当然、耐えられなくなった身体は限界を迎え、死ぬ。
…これが普通の人間なら、とっくに死んでる。
でも、ナジュが死んでいないのは…彼が融合した魔物が、他でもない『冥界の女王』だからだ。
不死身の肉体を持つリリスと融合したからこそ、ナジュは普通の人間なら死んでいる事態になっても、死んでいない。
不死身であるからこそ出来る…ナジュだけの秘密兵器。
そして、諸刃の剣。
ナジュは死なないけど、確かに死なないけど…。
でも、死ぬほど痛い思いはするのだ。
現に、今も。
再生した傍から内臓が破裂し、また再生して、また破裂して…を繰り返している。
それが地獄の苦しみであることは、想像に難くない。
そして、「反動」が収まって安定するまで、それが延々とひたすら続くのだ。
…そうなることを分かっていて、お前は。
…そこまでして…。
「何で…君はいつも、そんな無茶を…!」
天音は、自分の怪我を押してナジュに回復魔法をかけた。
しかし…いくら回復魔法をかけても、そう簡単に「反動」は収まらなかった。
「大丈夫…ですよ。いずれ…放っておいたら、勝手に…治る…」
「治るからって、無茶して良い訳ないでしょ!」
…全くだ。
一体、何度お前に同じことを言ったか。
不死身だからって、考えなしに特攻を仕掛けて良い訳じゃないんだぞ。
…でも。
その無茶のお陰で、今回は助かった。
向こう見ずに突撃する悪癖は、断じて許容出来ないが。
今回はそれに助けられたのだから、その点については、素直に感謝する。
「…お前のお陰で助かった。けど…もう、二度とやるなよ」
もう二度と…ナジュにあんなことはさせない。
『不思議の国のアリス』はもう終わったのだ。これで、ナジュが無理する必要は…。
…と、思ったそのときだった。
「…!誰だ?」
また魔法道具の一つを攻略し、凱旋したばかりの俺達を、待っていたかのように。
突如として、とんでもない人物が…俺達の目の前に現れた。