神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
イーニシュフェルトの里の賢者ってことは、実力はシルナに負けず劣らずなのだろう?
そんな天才級の魔導師が、20人近くも蘇ったら…。
最早、それだけで一国の軍隊に匹敵すると言っても、過言ではないかもしれない。
…絶望が込み上げてくるな。
「このパンダ一匹でも手に負えないのに、20匹ですか…。骨が折れますね」
「全くだな、イレース…」
パンダっていうのは、一匹や二匹いるから、可愛いなぁ和むなぁ、と思えるのだ。
これが20匹も群れを為してみろ。可愛いじゃ済まんぞ。
「今回ばかりは、聖魔騎士団の戦力を借りたとしても手に負えないかもな…」
…どうする?
ある意味、『終日組』襲来のときよりピンチだぞ。
…しかし。
「例え蘇った死体が、20人で攻めてきたとしても…まともに相手をする必要はないよ」
と、シルナ。
「何で?」
「頭を潰せば良いんだよ」
「そりゃそうだろ。ゾンビなんだから」
さっきから言ってんじゃん。
鍬とか、バールのようなもので頭を殴りつければ良いんだろ?
と思ったが、シルナが言いたいのはそういうことではなかった。
「あぁ、いや、そうじゃなくて…。操り人形を止めるんじゃなくて、操り人形を操ってる人を止めたら良いってこと」
あ、成程…そういうことか。
操り人形というのは、誰かが操ってるから動いているのであって。
誰も動かさないのであれば、それはただの人形だ。
人形そのものが、自分の意志で動いている訳じゃない。
人形を操っている誰かを止めさえすれば、必然的に人形は動かなくなる。
「ですが、そう都合良く出てきてくれますかね?」
ナジュが頬杖をつきながら言った。
「そうだな…。操ってるのが誰なのかは知らないが、迂闊に出ていけばやられる、って分かってるだろうし…」
「『八千歳』の糸みたいに、物凄く遠いところから操作出来るなら、操ってる人を探すのは大変だね」
と、令月も言った。
すぐりの糸の有効射程距離は、とんでもなく長いもんな。
「いや、そんなに遠くじゃないよ。近くにいるはずだ」
「…シルナ。何でそう断言出来る?」
お前、さっきからずっと…確信を持って答えてるよな。
分かってるんだろう。イーニシュフェルトの里の族長、あのゾンビジジィの死体を操っている者。
その、正体を。
「死体を操っているのは…恐らく…ネクロマンサーだ」
そんな天才級の魔導師が、20人近くも蘇ったら…。
最早、それだけで一国の軍隊に匹敵すると言っても、過言ではないかもしれない。
…絶望が込み上げてくるな。
「このパンダ一匹でも手に負えないのに、20匹ですか…。骨が折れますね」
「全くだな、イレース…」
パンダっていうのは、一匹や二匹いるから、可愛いなぁ和むなぁ、と思えるのだ。
これが20匹も群れを為してみろ。可愛いじゃ済まんぞ。
「今回ばかりは、聖魔騎士団の戦力を借りたとしても手に負えないかもな…」
…どうする?
ある意味、『終日組』襲来のときよりピンチだぞ。
…しかし。
「例え蘇った死体が、20人で攻めてきたとしても…まともに相手をする必要はないよ」
と、シルナ。
「何で?」
「頭を潰せば良いんだよ」
「そりゃそうだろ。ゾンビなんだから」
さっきから言ってんじゃん。
鍬とか、バールのようなもので頭を殴りつければ良いんだろ?
と思ったが、シルナが言いたいのはそういうことではなかった。
「あぁ、いや、そうじゃなくて…。操り人形を止めるんじゃなくて、操り人形を操ってる人を止めたら良いってこと」
あ、成程…そういうことか。
操り人形というのは、誰かが操ってるから動いているのであって。
誰も動かさないのであれば、それはただの人形だ。
人形そのものが、自分の意志で動いている訳じゃない。
人形を操っている誰かを止めさえすれば、必然的に人形は動かなくなる。
「ですが、そう都合良く出てきてくれますかね?」
ナジュが頬杖をつきながら言った。
「そうだな…。操ってるのが誰なのかは知らないが、迂闊に出ていけばやられる、って分かってるだろうし…」
「『八千歳』の糸みたいに、物凄く遠いところから操作出来るなら、操ってる人を探すのは大変だね」
と、令月も言った。
すぐりの糸の有効射程距離は、とんでもなく長いもんな。
「いや、そんなに遠くじゃないよ。近くにいるはずだ」
「…シルナ。何でそう断言出来る?」
お前、さっきからずっと…確信を持って答えてるよな。
分かってるんだろう。イーニシュフェルトの里の族長、あのゾンビジジィの死体を操っている者。
その、正体を。
「死体を操っているのは…恐らく…ネクロマンサーだ」