神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
しかし、誰一人僕をこの危機から救ってくれる者はいなかった。

「何をするの?ねぇ。何が起きるの?」

「…」

僕の問いに、誰も答えなかった。

「やめて、怖いよ。助けて。ここから出して。ねぇ…」

「…それは出来ないんだよ」

村長がそう答えた。

出来ない?どうして?

「お前は、神様のもとに帰るんだ」

神様?

神様って何だ。

「それがお前の為なんだよ。その力は…お前の持つその力は、お前を生涯に渡って苦しめる」

「…」

「誰からも忌まれ、疎まれ、恐れられ…お前を孤独にする」

「…どういうこと…?」

意味が分からなかった。まだ幼い僕には。

自分の持つ力の意味。そして、そんな力を持つ僕を、村人達がどう思っているのかも。

何も分かっていなかったのだ。

「だから、そうなる前に…我々の手で、お前を神様のもとに送るんだよ」

綺麗な言葉を並べて、自分達の行いを正当化しながら。

結局、彼らがやろうとしていたことは一つだけ。

「…さようなら」

片手に持っていた松明を、鉄格子の隙間から僕に向かって投げた。
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