神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
巻き上げる赤い炎が、僕の身体を焼いた。
炎は真っ赤だったはずだが、僕の視界は一面、真っ暗だった。
あまりの痛みに、あまりの恐怖に、ぎゅっと目を閉じていたから。
苦痛に耐えきれず、必死に叫び続ける自分の声だけが、何処か他人事のように響いていた。
炎に焼かれながら、自分が何を叫んでいたのか、今では覚えていない。
が、助けを求めて叫んだはずだ。当然ながら「助けて」と叫び続けていたはずだ。
それでも、僕を助ける者はいなかった。
目の前で僕が焼かれているのを見ているはずの、父でさえも。
誰も僕を助けない。僕が焼かれ、死ぬのを待っている。
僕は死にたくなかった。当たり前だけど。
こんなところで、理不尽に大人達に殺されて良いはずがなかった。
苦痛と、死への恐怖が頂点に達したそのとき。
僕の中で、何かが弾けた。
僕はそのとき起こったことを記憶していない。
でも、そのとき何が起こったのか、推測することは容易かった。
気がつくと、僕は真っ黒に煤けた燃え殻の中に座り込んでいて。
目の前に生きている人間は、僕以外誰もいなくなっていた。
先程までそこで、僕が燃えているのを見ていた大人達がいたはずなのに。
父を含め、その大人達は全員…死体になっていた。
代わりに、僕を取り囲むように…動く死体達が僕を守っていた。
自分では覚えていないけど、恐らく僕は、焼かれる苦痛に耐えかねて、咄嗟に力を使ったのだろう。
まず操った死体達に炎を消させ、そして…。
…僕を殺処分しようとした大人達を、殺した。
首を捩じ切られて、床に倒れている父親の骸を…僕は、無表情に見下ろした。
炎は真っ赤だったはずだが、僕の視界は一面、真っ暗だった。
あまりの痛みに、あまりの恐怖に、ぎゅっと目を閉じていたから。
苦痛に耐えきれず、必死に叫び続ける自分の声だけが、何処か他人事のように響いていた。
炎に焼かれながら、自分が何を叫んでいたのか、今では覚えていない。
が、助けを求めて叫んだはずだ。当然ながら「助けて」と叫び続けていたはずだ。
それでも、僕を助ける者はいなかった。
目の前で僕が焼かれているのを見ているはずの、父でさえも。
誰も僕を助けない。僕が焼かれ、死ぬのを待っている。
僕は死にたくなかった。当たり前だけど。
こんなところで、理不尽に大人達に殺されて良いはずがなかった。
苦痛と、死への恐怖が頂点に達したそのとき。
僕の中で、何かが弾けた。
僕はそのとき起こったことを記憶していない。
でも、そのとき何が起こったのか、推測することは容易かった。
気がつくと、僕は真っ黒に煤けた燃え殻の中に座り込んでいて。
目の前に生きている人間は、僕以外誰もいなくなっていた。
先程までそこで、僕が燃えているのを見ていた大人達がいたはずなのに。
父を含め、その大人達は全員…死体になっていた。
代わりに、僕を取り囲むように…動く死体達が僕を守っていた。
自分では覚えていないけど、恐らく僕は、焼かれる苦痛に耐えかねて、咄嗟に力を使ったのだろう。
まず操った死体達に炎を消させ、そして…。
…僕を殺処分しようとした大人達を、殺した。
首を捩じ切られて、床に倒れている父親の骸を…僕は、無表情に見下ろした。