神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
その結果。

長い時間が経って、ある程度のことは分かった。

とはいえ、誰かに確認を取った訳じゃないから、やはりあくまで推測の域を出ないのだが。

僕のこの力、死体を操る力は…常人では持ち得ない力なのだ。

長い時間をかけて、僕はこの能力を自分なりに分析した。

僕は、全ての人間の死体を操ることが出来る。

もっと正確に言えば…死体に残る魂の残滓を操る、と言うべきか。

イーニシュフェルトの里の族長が、死体となってもシルナ・エインリーを憎み、復讐しようとしているのは、そのせいだ。

あの族長の死体に残った、僅かな魂の残滓が、復讐を望んでいるからに過ぎない。

それから、僕が操れる死体は人間のものだけだ。虫や獣の死体は扱えない。

犬の死骸や、羽虫の死骸を相手に力を使おうとしたことがあるが、上手く行かなかった。

そして、同時に扱える死体の数は、状況にもよるけど大体100人くらい。

それに、遠くにある死体を操ることは出来ない。

力の及ぶ範囲は、4、500メートルくらいだろうか。

それ以上離れると、僕の力は及ばなくなる。

便利なようで、意外と制約はたくさんあるのだ。

何より気にしていた…僕の身体の成長が止まったのも、僕の力のせいであるらしい。

人外の能力であるが故に…その力を宿す肉体も、普通の人間とは違うようだ。

でも、そんなことは関係ない。

僕は自分の力が類まれなものであると知った。

この力の名前も。

僕のように、魔力で死体を操る者のことを、こう呼ぶのだそうだ。

ネクロマンサー、と。
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