神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「…」

俺は、無防備な顔で眠るベリクリーデを見下ろした。

…路傍の石でも…か。

俺は、かつて彼女が言った言葉を思い出した。

「…こいつは、路傍の石にしては高価値過ぎないか?」

今なら、お前の気持ちが分かるよ、ユリヴェーナ。

お前もきっとこんな気持ちで、故郷を守っていたんだろう。

俺もようやく、俺の正義を貫くに値するモノを見つけたよ。

俺は英雄なんかじゃないし、お前のように、立派に役目を果たせるかは分からないけど…。

「…命をかけて守ったものは、無価値なんかじゃない、だろ?」

















END
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