神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「ジュリス遊んで」
「…ベリクリーデ」
俺はペンを動かす手を止めた。
…。
「…お前に言いたいことが三つある」
「多いね。一個に出来ない?」
何様だお前。
「出来ない。三つ全部聞け」
「しょうがないなー」
何で俺が駄々っ子扱い?
「…まず一つ目。今、何時だと思ってんだ」
そろそろ日付が変わる時間だぞ。
およそ、人を訪ねる時間ではない。
例え何か用事があったとしても、明日に回すだろう、普通。
余程、火急な緊急事態が起きたならまだしも。
「深夜だぞ。分かってるか?寝る時間だぞ」
「ジュリスは起きてるじゃん」
「俺は仕事だ。残業があるんだよ」
遊ぶ為に起きてるんじゃねーよ。お前と違ってな。
「だって、ベッドに入ったけど眠れなかったんだもん」
「だからって、あのなぁ…」
「じゃあ、ジュリスのところに遊びに行こうと思って」
何が「じゃあ」なんだよ。
何故、眠れなかったら俺のところに来ようという選択肢が生まれるのか。
「それで遊びに来た」
来るな。
「…起きてたから良かったようなものの…お前、俺が寝てたらどうするつもりだったんだ?」
「?起こす」
起こすな。
「…はぁ…」
…今日に限って持ち帰り残業してて、本当に良かった。
寝てるときに部屋に入ってこられたら、翌日、様々な誤解が生まれかねないところだった。
あぶねぇよ。ただでさえ、『白雪姫と七人の小人』の結婚式の件で、良からぬ噂が広まりつつあるのに。
「それでジュリス、二つ目は何?」
あぁ、そうだったな。
一応聞く気はあるんだな。
「人様の部屋を訪ねるなら、パジャマじゃなくて着替えてから来い」
寝間着姿で人を訪ねるんじゃねぇ。
そんな格好で深夜の男性隊舎をうろうろして、変な気を起こす奴がいたらどうするんだ。
こいつは、中身はともかく、見た目だけはそれなりに整っているのだから。
中身はともかく、な。
「何で?ジュリスだってパジャマ着てるじゃん」
これはジャージだ。
自分の部屋でなら、何着てても良いさ。
だが人の部屋を訪ねるときは、最低限の格好ってもんがあるだろ。
…まぁ、ほぼ毎朝起こしに行ってるから、お前のパジャマ姿はしょっちゅう見てるけどさ。
今更かもしれないけどさ。でもけじめってもんがあるだろ。
あぁ、頭痛くなってきた。
「三つ目は何?」
「人の部屋を訪ねるときは、ちゃんとノックしてから入れ。無断で開けて気まずいことになったら困るだろ」
「気まずいこと?何?」
俺の口からは言えねぇよ。
「つーか、眠れないからって深夜に部屋を抜け出すな。大人しくしてろ。それから俺は忙しいんだ。遊んでる暇はないんだよ。お前も遊ぶほど暇を持て余してるなら、少しくらい書類仕事をやれ!」
俺が何で、こんな時間まで残業してるか知ってるか?
相棒のベリクリーデが覿面に書類仕事に弱いから、俺が全部代わってるんだよ。
給料二人分もらわないと、割に合わないだろ。
「…ベリクリーデ」
俺はペンを動かす手を止めた。
…。
「…お前に言いたいことが三つある」
「多いね。一個に出来ない?」
何様だお前。
「出来ない。三つ全部聞け」
「しょうがないなー」
何で俺が駄々っ子扱い?
「…まず一つ目。今、何時だと思ってんだ」
そろそろ日付が変わる時間だぞ。
およそ、人を訪ねる時間ではない。
例え何か用事があったとしても、明日に回すだろう、普通。
余程、火急な緊急事態が起きたならまだしも。
「深夜だぞ。分かってるか?寝る時間だぞ」
「ジュリスは起きてるじゃん」
「俺は仕事だ。残業があるんだよ」
遊ぶ為に起きてるんじゃねーよ。お前と違ってな。
「だって、ベッドに入ったけど眠れなかったんだもん」
「だからって、あのなぁ…」
「じゃあ、ジュリスのところに遊びに行こうと思って」
何が「じゃあ」なんだよ。
何故、眠れなかったら俺のところに来ようという選択肢が生まれるのか。
「それで遊びに来た」
来るな。
「…起きてたから良かったようなものの…お前、俺が寝てたらどうするつもりだったんだ?」
「?起こす」
起こすな。
「…はぁ…」
…今日に限って持ち帰り残業してて、本当に良かった。
寝てるときに部屋に入ってこられたら、翌日、様々な誤解が生まれかねないところだった。
あぶねぇよ。ただでさえ、『白雪姫と七人の小人』の結婚式の件で、良からぬ噂が広まりつつあるのに。
「それでジュリス、二つ目は何?」
あぁ、そうだったな。
一応聞く気はあるんだな。
「人様の部屋を訪ねるなら、パジャマじゃなくて着替えてから来い」
寝間着姿で人を訪ねるんじゃねぇ。
そんな格好で深夜の男性隊舎をうろうろして、変な気を起こす奴がいたらどうするんだ。
こいつは、中身はともかく、見た目だけはそれなりに整っているのだから。
中身はともかく、な。
「何で?ジュリスだってパジャマ着てるじゃん」
これはジャージだ。
自分の部屋でなら、何着てても良いさ。
だが人の部屋を訪ねるときは、最低限の格好ってもんがあるだろ。
…まぁ、ほぼ毎朝起こしに行ってるから、お前のパジャマ姿はしょっちゅう見てるけどさ。
今更かもしれないけどさ。でもけじめってもんがあるだろ。
あぁ、頭痛くなってきた。
「三つ目は何?」
「人の部屋を訪ねるときは、ちゃんとノックしてから入れ。無断で開けて気まずいことになったら困るだろ」
「気まずいこと?何?」
俺の口からは言えねぇよ。
「つーか、眠れないからって深夜に部屋を抜け出すな。大人しくしてろ。それから俺は忙しいんだ。遊んでる暇はないんだよ。お前も遊ぶほど暇を持て余してるなら、少しくらい書類仕事をやれ!」
俺が何で、こんな時間まで残業してるか知ってるか?
相棒のベリクリーデが覿面に書類仕事に弱いから、俺が全部代わってるんだよ。
給料二人分もらわないと、割に合わないだろ。