神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
…と、いう思い出したくない事態が発生した、その二日後。

の、深夜。

「…おっと…もうこんな時間か…」

気がつけば、そろそろ日付が変わる時刻。

一昨日、書類仕事を全部片付けてしまったので、今夜の夜更しは残業ではない。

暇潰しにと借りてきた、魔導書を読んでいたのだ。

たまには、宵っ張りで読書も悪くないかと思ってな。

が、さすがに…そろそろ寝るか。

本に栞を挟んで閉じ、本棚に片付け。

椅子から立ち上がった、そのときだった。

「ジュリスー。あーそーぼー」

「…また来やがった…!」

またしても、ノックの一つもせず。

またしても、小学生みたいなノリで。

またしても、パジャマ姿のままで。

またしても、凝りもせず、ベリクリーデが俺の部屋にズケズケと入ってきた。

あーそーぼーってお前。今日日、小学生でもそんなこと言わねぇよ。

「何しに来たんだ、お前は…」

「遊ぼ、ジュリス。眠れないの」

「お前が寝られなくても、俺はこれから寝るんだよ。邪魔をするな」

「大丈夫だよ。今日はね、何して遊ぶか考えてきたんだ」

と、何故かベリクリーデは胸を張って言った。

…なぁ、何が大丈夫なんだ?

何も大丈夫じゃないんだけど?
< 600 / 634 >

この作品をシェア

pagetop