神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
「私はシルナ・エインリーのコピー。もっと正しい言い方をすれば…シルナのドッペルゲンガーなんだ」

「どっ…」

…ドッペルゲンガー、だって?

…何だか、訳の分からない話になってきた。

同じ顔をした人間が二人、目の前にいる時点で、充分訳分からんけどな。

そして片方が、片方のドッペルゲンガーだと主張している。

訳が分からなくて当然だ。

「ドッペルゲンガーだって…?お前が、シルナの…?」

「そうだよ。納得した?」

する訳ないだろ。

いきなり目の前にそっくりさんが出てきて、「私はあなたのドッペルゲンガーです」と言い出して、はいそうですかと納得出来る奴がいるか。

大体、ドッペルゲンガーって言ったら…。

確か自分の分身で…ホラー映画なんかでは、それなりに定番の…。

…ん?

俺の記憶が正しかったら、ドッペルゲンガーってまさか…。

「…ドッペルゲンガーが本人に会ったら、殺されるんじゃなかったか?」

自分のドッペルゲンガーに会ったら、偽物の自分に殺されてしまう。

そんな都市伝説がなかったか?

だとしたら、今ここにいるシルナが殺されてしまうことに…。

「心配要らないよ。私は、自分の本体を殺そうなんて思ってないから」

ドッペルゲンガーシルナは、落ち着いた様子でそう言った。

…。

「私に誰かを傷つける意思はない。あくまで君達と、友好的な関係を築きたいと思ってるんだよ」

「…」

「だから安心して。落ち着いて、一緒に話を…」

…この馬鹿。

さっきから一体、何をたわけたこと言ってるんだ?
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