神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
な…何をしやがった?
「お前!何を…」
「え?実験室から持ってきたんだ。面白いことになりそうだったから」
ドッペルゲンガー天音は、にやにやしながら、空っぽになった茶色の小瓶を振っていた。
小瓶をよく見るとその瓶には、「危険」のラベルが貼ってあり。
もっとよく見ると、「硫酸」の文字が目に入った。
ま、まさか…硫酸ぶっかけたのか?
それだけではなかった。
「な、ナジュ君、しっか…ふわぁぁぁぁ!?」
「シルナ!?」
ナジュに駆け寄ろうとしたシルナは、勢いよくすってんころりん、と保健室の床に転んだ。
何を遊んでいるのかと思ったら、よく見ると、シルナの足元が濡れていた。
ドッペルゲンガー天音がにやにやしているのを見ると、シルナが足を滑らせるように、わざと床を濡らしておいたのだろう。
こ、こいつ…!
「お前、ふざけたこと…!」
「…っ!羽久さん、上!」
本物の天音が、そう叫んだ。
上?
反射的に顔を上げると、天井に仕掛けていたらしい、薬品を入れる箱が、顔面に正面衝突。
歯、折れるかと思った。
ガツン!と激しい音がして、顔面に硬い箱をぶつけられた俺は、思わずその場に崩れ落ちた。
な、なんて馬鹿馬鹿しい真似を…。
良いように食らってしまう俺達も、負けないくらい馬鹿馬鹿しいが…。
「あはは!暇潰しに色々仕掛けた甲斐があったなー。面白かった」
ドッペルゲンガー天音は、無様に床に這いつくばる俺達を指差して、ケラケラ笑っていた。
こ、の、悪趣味野郎…。
何なんだ。このピタゴラ装置みたいな仕掛けは。
今すぐ立ち上がって、拳骨の一つでも食らわせてやりたかったが。
箱がぶつかった衝撃で、ボタボタ鼻血が出てきて、それどころじゃなかった。
「…なんて酷いことを…」
本物の天音は憤慨した様子で、自分のドッペルゲンガーを睨みつけた。
「何でこんなことをするの?」
「え?だって、面白いでしょ?」
「何も面白くなんかない。人を傷つけるような真似をして何が面白いの?」
…天音…。
さっき、疑って悪かった。
お前は紛れもなく、本物の天音だよ。
「ふん。自分同じ顔をした奴に説教されたくないね」
「君は許さない。今すぐ、この場で消えてもらう」
「へぇ?自信満々だね…。やれるものならやってみなよ」
ドッペルゲンガー天音は挑戦的な眼差しで、本物の天音を見つめた。
「お前!何を…」
「え?実験室から持ってきたんだ。面白いことになりそうだったから」
ドッペルゲンガー天音は、にやにやしながら、空っぽになった茶色の小瓶を振っていた。
小瓶をよく見るとその瓶には、「危険」のラベルが貼ってあり。
もっとよく見ると、「硫酸」の文字が目に入った。
ま、まさか…硫酸ぶっかけたのか?
それだけではなかった。
「な、ナジュ君、しっか…ふわぁぁぁぁ!?」
「シルナ!?」
ナジュに駆け寄ろうとしたシルナは、勢いよくすってんころりん、と保健室の床に転んだ。
何を遊んでいるのかと思ったら、よく見ると、シルナの足元が濡れていた。
ドッペルゲンガー天音がにやにやしているのを見ると、シルナが足を滑らせるように、わざと床を濡らしておいたのだろう。
こ、こいつ…!
「お前、ふざけたこと…!」
「…っ!羽久さん、上!」
本物の天音が、そう叫んだ。
上?
反射的に顔を上げると、天井に仕掛けていたらしい、薬品を入れる箱が、顔面に正面衝突。
歯、折れるかと思った。
ガツン!と激しい音がして、顔面に硬い箱をぶつけられた俺は、思わずその場に崩れ落ちた。
な、なんて馬鹿馬鹿しい真似を…。
良いように食らってしまう俺達も、負けないくらい馬鹿馬鹿しいが…。
「あはは!暇潰しに色々仕掛けた甲斐があったなー。面白かった」
ドッペルゲンガー天音は、無様に床に這いつくばる俺達を指差して、ケラケラ笑っていた。
こ、の、悪趣味野郎…。
何なんだ。このピタゴラ装置みたいな仕掛けは。
今すぐ立ち上がって、拳骨の一つでも食らわせてやりたかったが。
箱がぶつかった衝撃で、ボタボタ鼻血が出てきて、それどころじゃなかった。
「…なんて酷いことを…」
本物の天音は憤慨した様子で、自分のドッペルゲンガーを睨みつけた。
「何でこんなことをするの?」
「え?だって、面白いでしょ?」
「何も面白くなんかない。人を傷つけるような真似をして何が面白いの?」
…天音…。
さっき、疑って悪かった。
お前は紛れもなく、本物の天音だよ。
「ふん。自分同じ顔をした奴に説教されたくないね」
「君は許さない。今すぐ、この場で消えてもらう」
「へぇ?自信満々だね…。やれるものならやってみなよ」
ドッペルゲンガー天音は挑戦的な眼差しで、本物の天音を見つめた。