神殺しのクロノスタシスⅤ〜前編〜
保健室の中で、ギリギリの鍔迫り合いが繰り広げられていた。
手に汗握る、とはこのことである。
加勢に入りたいのに、その余裕さえない。
一体何なんだ。ドッペルゲンガー天音の、あの軽快な動き。
本来の天音は回復魔専門で、戦うのは苦手なはずなのに。
まさか本体よりも、ドッペルゲンガーの方がスペックが高く設定されているのか…?
シルナのドッペルゲンガーも、本人の上位互換を自称していたしな。
もしかしたらあのドッペルゲンガーは、オリジナルにはない才能を備えているのかもしれない。
そうでないと、説明がつかない…。
「…いや、ちゃんとオリジナルを参照してますけどね」
ようやく、顔の傷が少しずつ治ってきたナジュがポツリと呟いた。
は…?
オリジナルが何だって?
「な、ナジュ君!黙っててって!」
焦った本物の天音が叫んだ。
黙ってろって…?何を?
いや、それより。
「余所見してる暇があるの?」
「ぐっ…!」
ドッペルゲンガー天音の素早い刃が、天音に迫った。
同じ顔をした二人が戦っていると、不気味でしかない。
本来、天音は戦うのが苦手なのだ。
このままじゃ圧倒的に分が悪い。
「ほら、君もそろそろ本気を出しなよ。出し惜しみしてる余裕はないでしょ?」
ドッペルゲンガー天音は、この余裕の表情。
さっきからこいつ、何を…。
「そ、それは…」
「まだその気になれない?じゃあ…彼の腕の一本でも、切り落としてみせようかな?」
そう言って、ドッペルゲンガー天音は、剣の切っ先をナジュにを向けた。
この挑発は、天音には覿面だった。
「…!何を…!」
「どうせ不死身なんだから、別に良いよね。…何なら腕の一本と言わず、胴体ごとぶつ切りにしてあげよっか?」
「…」
ドッペルゲンガー天音の挑発に、天音はぎりぎりと強く杖を握り締めた。
…これほど激怒した天音は、見たことがなかった。
自分の為には怒れなくても、人の為ならこれほど怒ることが出来るのか。
「…あぁ、もう駄目かも」
天音はそう呟いて、杖を手放そうとした…。
…が。
「いや、その必要はないですよ」
ようやく顔の傷が治ったナジュが、風魔法の刃をドッペルゲンガー天音に放った。
…一対一では、圧倒的に天音に不利だが。
しかし、天音は一対一で戦う必要はない。
だって、天音には…心強い味方がいるのだから。
手に汗握る、とはこのことである。
加勢に入りたいのに、その余裕さえない。
一体何なんだ。ドッペルゲンガー天音の、あの軽快な動き。
本来の天音は回復魔専門で、戦うのは苦手なはずなのに。
まさか本体よりも、ドッペルゲンガーの方がスペックが高く設定されているのか…?
シルナのドッペルゲンガーも、本人の上位互換を自称していたしな。
もしかしたらあのドッペルゲンガーは、オリジナルにはない才能を備えているのかもしれない。
そうでないと、説明がつかない…。
「…いや、ちゃんとオリジナルを参照してますけどね」
ようやく、顔の傷が少しずつ治ってきたナジュがポツリと呟いた。
は…?
オリジナルが何だって?
「な、ナジュ君!黙っててって!」
焦った本物の天音が叫んだ。
黙ってろって…?何を?
いや、それより。
「余所見してる暇があるの?」
「ぐっ…!」
ドッペルゲンガー天音の素早い刃が、天音に迫った。
同じ顔をした二人が戦っていると、不気味でしかない。
本来、天音は戦うのが苦手なのだ。
このままじゃ圧倒的に分が悪い。
「ほら、君もそろそろ本気を出しなよ。出し惜しみしてる余裕はないでしょ?」
ドッペルゲンガー天音は、この余裕の表情。
さっきからこいつ、何を…。
「そ、それは…」
「まだその気になれない?じゃあ…彼の腕の一本でも、切り落としてみせようかな?」
そう言って、ドッペルゲンガー天音は、剣の切っ先をナジュにを向けた。
この挑発は、天音には覿面だった。
「…!何を…!」
「どうせ不死身なんだから、別に良いよね。…何なら腕の一本と言わず、胴体ごとぶつ切りにしてあげよっか?」
「…」
ドッペルゲンガー天音の挑発に、天音はぎりぎりと強く杖を握り締めた。
…これほど激怒した天音は、見たことがなかった。
自分の為には怒れなくても、人の為ならこれほど怒ることが出来るのか。
「…あぁ、もう駄目かも」
天音はそう呟いて、杖を手放そうとした…。
…が。
「いや、その必要はないですよ」
ようやく顔の傷が治ったナジュが、風魔法の刃をドッペルゲンガー天音に放った。
…一対一では、圧倒的に天音に不利だが。
しかし、天音は一対一で戦う必要はない。
だって、天音には…心強い味方がいるのだから。